冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

能・狂言

能「定家」(大槻能楽堂) そのまたつづき

前置きばかりが長くなってしまいました。 「定家」は、以前からぜひ見たいと思っていた曲で、この日、ようやく念願が叶いました。しかも顔ぶれがとても豪華(人間国宝3人、文化功労者1人)。こんな組み合わせで「定家」が見られるなんて、めったにないこと…

能「定家」(大槻能楽堂) つづき

公演に先立って、村上湛さんという方の解説がありました。 舞台は上京千本あたり。現在の千本通はその昔の朱雀大路で、都のメインストリートだったのです。そこに定家の「時雨の亭」があったという設定です。亭というのは壁のない東屋で、そのような簡素な建…

能「定家」(大槻能楽堂)

先週末、大槻能楽堂で能「定家」を見ました。 当日配られた資料からあらすじをお借りします。 北の国から都へやってきた旅の僧が、千本辺りで冬枯れの木立に残る紅葉の美しさなどを愛でていると、時雨にあってしまった。雨宿りに近くの東屋へ立ち寄ると、「…

三流(金剛流、喜多流、金春流)それぞれの「小鍛冶」キリ

シテ方の流儀による仕舞の違いを先日のTTRプロジェクトの公演で見て、「こんなことを実現するなんてすごい!」と感嘆したのですが、今日、「ゆとりのかい」のUチューブ動画で、似たようなこと(というにはレベルがかなり違いますが)をしているのを見つけま…

宝生流シテ方能楽師、辰巳満次郎さん

一方、宝生流の辰巳満次郎さんについては、お名前は知っていましたが、拝見するのは初めてでした。大柄でお顔も大きく、しかもいかつい。小柄で小顔の味方玄さんとは対照的です。でも、お話をされるとざっくばらんでユーモラスな語り口から人柄が伝わってき…

観世流シテ方能楽師、味方玄(しずか)さん

「和魂Ⅷ」の公演、実は午前中にプレ企画がありました。「『和魂Ⅷ』が120%面白くなるTTR講座」というタイトルで、この日の公演でどんなことをするか、見どころ聞きどころはどこかを紹介するというもの。これがとても興味深く、観世流と宝生流の違いがよくわ…

「和魂Ⅷ 観世流vs宝生流 流儀大解剖!」湊川神社神能殿 続き

観世流と宝生流では、基本の姿勢、基本の所作、扇の持ち方など、どれも違っていました。たとえば基本姿勢は、観世流は少し腰を落とし気味にして立ちますが、宝生流ではさらに低く落として構えます。あの姿勢は筋肉が要るだろうなあ、きついだろうなあと想像…

「和魂Ⅷ 観世流vs宝生流 流儀大解剖!」湊川神社神能殿

TTR能プロジェクトが企画した公演で、9月25日(土)に見てきました。TTRの企画公演ではこれまでに、小鼓や大鼓の演奏の流儀による違いにスポットを当てて、比較しながら演奏を聴くという催しなどがありましたが、シテ方という能の中心部分を担う役割について…

能「通小町(かよいこまち)」(大阪観世会定期能、大槻能楽堂)

2つ目の演目は能「通小町」です。あらすじをthe能.comのサイトからお借りしました。 京都・八瀬(やせ)の山里で一夏の修行[夏安居(げあんご)。九十日間籠もる座禅行]を送る僧のもとに、木の実や薪を毎日届ける女がいました。僧が、問答の末に名を尋ね…

素謡「蝉丸」(大阪観世会定期能、大槻能楽堂)

9月11日(土)、大槻能楽堂へ。素謡「蝉丸」、能「通小町」、仕舞3曲、狂言「因幡堂」、仕舞1曲、能「紅葉狩」という番組でした。 「蝉丸」は前に能で見たことがあります。 murasamenokiri.hatenablog.com 今回、素謡で聴いて、能で鑑賞した時とはずいぶん…

能「楊貴妃」、能「天鼓」(大槻能楽堂)

書きそびれていましたが、8月下旬、立山に行く前に「大槻文藏 裕一の会」を見ました。演目はタイトルに書いた能二曲と、狂言「隠狸」でした。 「楊貴妃」はシテ、大槻文藏さん。初めて見る曲でもあり、とても楽しみにしていたのですが、気持ちよく眠ってしま…

謡(うたい)のお稽古を始めています

4月から月2回、某カルチャーセンターで観世流の謡の教室に通っています。今まで書かなかったのは、続けられるかどうか、自信がなかったからです。 謡というのは能のボーカル部分です。シテ(大雑把に言えば主役のこと)、ワキ(大雑把に言えば脇役のこと)…

京舞と能「鉄輪(かなわ)〜大槻能楽堂「ろうそく能」 続き

能「鉄輪」の主な出演者は次のとおりです。 シテ 前シテ 女、後シテ 女の生霊 大槻文藏 ワキ 安倍晴明 福王知登 ワキツレ 下京の男(女の夫) 喜多雅人 アイ 貴船の社人 野村裕基 大鼓 河村 大 小鼓 幸 正佳 太鼓 前川光範 笛 杉 市和 前シテの女は橋掛かり…

京舞と能「鉄輪(かなわ)〜大槻能楽堂「ろうそく能」

7月9日(金)の夜、大槻能楽堂で京舞と能の「鉄輪」を見ました。毎年夏に開かれる「ろうそく能」です。昨夏はコロナのために中止になり、演目や出演者を変えずに今年ようやく実現したのです。 公演に先立って、作家の夢枕獏さんが「丑刻詣と陰陽師」というタ…

能楽界の苦境

ツイッターで見つけた川口晃平さん(HN古墳系男子さん)という能楽師さんのブログ記事です。心に迫るものがありますので紹介させていただきます。 これは書いていいのかわかりませんが、能楽師の主催する能公演の殆どは赤字で行われています。それはチケット…

篠山春日能 「班女」「鵜飼」

4月10日(土)、丹波篠山市の春日神社能舞台で「第47回 篠山春日能」を見ました。昭和48年から始まり、阪神淡路大震災の年に休演。昨年はコロナウイルスの感染拡大のため中止。それ以外は毎年開かれています。私がこの催しのことを知ったのは2年前でしたが、…

能「葵上」、狂言「梟」(大槻能楽堂)

20日に大槻能楽堂で「葵上」を見ました。この曲は人気があってよく上演されるので、私も覚えているだけでも3度は見たことがあります。でも、今回の「葵上」は特別でした。シテ、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊の役を私の一番好きな能楽師さ…

能「石橋」と歌舞伎舞踊「連獅子」、能「土蜘蛛」の動画を貼り付けました

能「石橋」のダイジェスト版をYouTubeで見つけたので、その記事の末尾に貼り付けました。歌舞伎舞踊「連獅子」の動画もアップしました。中村富十郎・鷹之資親子のも捨てがたかったのですが、中村勘九郎・七之助兄弟バージョンのダイジェスト版にしました。 …

能「土蜘蛛」(大槻能楽堂)

大槻能楽堂で2月8日に「土蜘蛛」を見ました。まずはあらすじをご紹介します。能ドットコムのサイトからお借りしました。 病気で臥せる源頼光(みなもとのらいこう)のもとへ、召使いの胡蝶(こちょう)が、処方してもらった薬を携えて参上します。ところが頼…

能「石橋(しゃっきょう)」を見ました(大槻能楽堂)

あらすじ(the能.comのサイトよりお借りしました) 中国・インドの仏跡を巡る旅を続ける寂昭法師[大江定基]は、中国の清涼山(しょうりょうぜん)[現在の中国山西省]にある石橋付近に着きます。そこにひとりの樵の少年が現れ、寂昭法師と言葉を交わし、橋…

京都観世会館の字幕表示サービス

京都観世会館では昨年から字幕サービスを提供しています。国立文楽劇場では舞台の上の方に電光掲示板のようなものが取り付けられていて、そこに太夫が語る床本の文言が表示されます。京都観世会館の場合はそういう方式ではなく、スマホのような機器を貸し出…

能「葛城」大和舞 その2(京都観世会館1月例会)

後見が1m弱四方の台の四隅に柱を立てて幕で覆ったもの(「山」というらしいです)を舞台中央、小鼓方・大鼓方の前あたりに運び出します。幕は白で、屋根もわただったか、白いもので覆われています。雪を表しているのです。 前シテは白い唐織を壺折りにした…

能「葛城(かづらき)」 大和舞 その1(京都観世会館1月例会)

休憩を挟んで、「葛城」です。あらすじを当日のチラシから紹介します。一部、文言を書き加えたり改行したりしています。 出羽の羽黒山から来た山伏が大和国葛城山に入り、吹雪に遭う。すると一人の里の女が山伏に声をかけ、(谷底の)庵に案内する。この葛城…

能「鶴亀」(京都観世会館1月例会)

「翁」に続いて「鶴亀」が上演されました。題からわかるとおり、祝儀の曲です。あらすじと解説を当日のチラシからお借りします。 新春、中国の王宮では群臣が皇帝の前に集い、節会が行われる。まず官人が口開きをし、荘重な囃子(真之来序)で皇帝が現れ、玉…

能「翁」「鶴亀」「葛城」「小鍛冶」を見ました(京都観世会館)

10日(日)、今年初めて能を見ました。京都観世会の1月例会です。一番の目的は「翁」を見ることでした。 この数年はいつも1月4日に大阪の大槻能楽堂で大槻文藏さんの「翁」を拝見してきました。ところが今年は新型コロナの関係で公演が行われなかったので…

能「唐船」を見ました(京都観世会館) 続き

シテ、つまり主人公が日本人ではなく、捕虜として捕らえられ日本で働かされている外国人という設定がとても珍しいです。こんな例をほかには知りません。とはいえ、描かれている祖慶官人と子どもたちの気持ちや、箱崎の某が親子の情愛に心を動かされる結末に…

能「唐船」を見ました(京都観世会館)

7日(土)に京都観世会館で能「唐船」を見ました。シテ方能楽師、味方玄(しずか)さんが主宰する「テアトル・ノウ」の公演です。 内容は一風、変わっていました。以下、あらすじを当日のチラシから引用します。 日本と唐土との船の争いがあり、唐土の祖慶官…

久しぶりに能を見ました 「猩々乱」「山姥」(京都観世会館)

コロナで一切の舞台公演が中止されて、大好きなお能も文楽も生の舞台が見られない日々が続いていましたが、25日(日)、ようやくお能の公演を拝見することができました。会場は京都観世会館、第62回京都観世能です。この日の公演は2部制になっており(コロ…

「能楽師のモーニングルーティーン 日常編」

Uチューブの動画 です。このところお気に入りの金剛流若手能楽師、山田伊純(いすみ)さんの「いすみちゃんねる」。「能楽師のモーニングルーティーン」って、何を写しているんだろうと興味を持って見始めたら、朝、狭いシングルサイズの布団にくるまって寝…

OKINA Dance of Life

こちらの動画 NHK WORLD-JAPANの番組です。坂本龍一にスポットを当てつつ、能の「翁」を紹介しています。談山神社の野外ステージで演じられている「翁」が美しい。あたりは桜が満開です。「翁」は能のあまたある曲の中で私が一番好きな曲です。 演者の顔ぶれ…