冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

義母が老健施設に入所

    短日や老ひたる母の薄き眉


 ハイキングの日、4時ごろ家に帰ると、昼間、義母の体に異変があったそうで、夫がケアマネさんからの連絡を待っていました。

 義母は、もうすぐ卒寿。70代から患っている難病のせいで足の筋肉が弱り、義弟と二人暮らしの家で療養しています。ベッドで過ごす時間が多いのですが、壁や家具につかまってそろそろ歩くことはできて、トイレに行ったり、台所の冷蔵庫から欲しいものを取り出したりしていました。
 ところがこの日、ヘルパーさんが来たとき、背中の強い痛みを訴えて、部屋に置いているポータブルトイレを使うこともできなくなったらしいのです。

 ヘルパーさんがケアマネさんに相談して、行きつけの病院に連れて行ってくださり、検査を受けましたが骨折はしていないし、他にも異常はないとのこと。
 とはいえ家に一人きりにすることができないので、そのまま入院…となりかけたのですが、ベッドが空いておらず、いつもデイサービスを利用している老健施設に短期の入所をすることになりました。入所ができるかどうかの返事を、夫は待っていたのです。

 私が帰宅して1時間後に、「入れることになりました」との連絡あり。夫の運転で義母の様子を見に行くことにしました。
 車でおよそ1時間。義母は施設の食堂でご飯を食べていました。いろいろあって、昼ごはんを食べていなかったらしいのです。
 食後、義母のそばへ。家にいるとき家の中は昼も夜もそんなに明るくないし、まじまじと顔を見つめたこともないのですが、施設の食堂はとても明るい。見ると、髪も眉も薄く、色白の顔にいくつもシミが浮き出ています。「お母さん、年をとったなあ」と心の中でため息をつきました。

 こちらから何を聞いても、はっきりした答が返ってきません。耳の聞こえも、普段より悪いみたいで、何度も聞き返します。何だかぼうっとしているみたい。痛み止めの薬の副作用かもしれません。

 施設の担当者と契約書を交わし、とりあえず1週間は入所して、足のリハビリを受けることに。義母の家に行って着替えと毛布を車に積み、届けました。
 帰り道、いつも利用しているスポーツジムでお風呂に入り、帰宅したのは10時でした。
 幸い、私はハイキングで少しも疲れておらず、10時に帰りついたときもまったく疲れを感じませんでした。以前の私には考えられない元気さ。夫が「体力がついたね」と感心していました。

 背中の痛みが内臓の病気から来ていたりしないだろうかと気がかりでしたが、今のところ、それはなさそう。しばらく集中リハビリで足の筋力を鍛えて、自分でトイレが使えるようになってから家に帰ることになりました。
 お正月も施設で過ごすことになりそうなので、元日に、娘たちや孫を連れて面会に行く予定です。もちろんそれまでの間も、様子を見に行きます。
 
 義母の家へ衣類を取りに行ったときのこと。門から玄関ドアまでの3メートルほどの間、敷石沿いに植わっている鈴蘭の葉っぱが茶色く枯れたまま、放置してあります。義母が元気な頃は枯れてきたらすぐに切っていたでしょうし、病気がちになってからも息子たちに指図して切らせていたはず。初めて見る光景でした。

    鈴蘭の枯葉並びて母不在


 高齢になると、いつなんどきどんなことが起こるかわからないですね。