冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

喜楽館で「昭和元禄落語心中」

 

 初釜の日、夕方から夫と一緒に神戸の新開地へ。昨年7月にオープンした落語の定席「喜楽館」に初めて行きました。

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 この日のテーマは「昭和元禄落語心中[E:#x2716]️上方落語」です。
  「昭和元禄落語心中」では江戸落語が数々取り上げられていますが、そのうちのいくつかを上方落語のバージョンで上演するという趣向です。すでに昨年、大阪の繁昌亭で開催したのだそうです。


 満員御礼でした。

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 ポスターも貼ってありました。

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 マンガでは二人ともキレイな顔なんですね。

 

 最初と中入り後にトークショーがありました。客席に向かって、マンガ、アニメ、ドラマのうちどこから『昭和元禄落語心中』にハマったかと尋ねたところ、それぞれ3分の1ずつくらいの答が返ってきていました。私たちはドラマからです。アニメもあったなんて、知りませんでした。

 あとで追加して「落語から入った方は?」という質問も出ましたが、反応はわずか。けれど、私の場合、これにも当てはまります。ドラマのタイトルに「落語」という言葉が入っていたから、興味を引かれて見始めたのです。 

 ネタと演者は次のとおりです。

    酢豆腐   笑福亭喬若
    宮戸川   笑福亭鉄瓶
    死神     笑福亭べ瓶(べべ)
    子別れ   桂かい枝

  「酢豆腐」は上方落語では「ちりとてちん」ですし、「子別れ」は江戸落語では「子は鎹(かすがい)」という題で呼ばれることが多いようです。
 
 喬若さんはくど過ぎました。上方落語には前座・二つ目・真打の区別はないとはいえ、最初の噺はさらっと済ませて次へバトンを渡して欲しかったです。
 鉄瓶さんの「宮戸川」はおじさん夫婦の会話がやけにエロっぽい。上方独特の味付けかもしれません。
 べ瓶さんはうまい。初めに「江戸落語とは趣が違います」と前置きしていましたが、それじゃあ上方バージョンはもっと明るいのかというと、そういうわけではなかったです。
 この噺、三遊亭圓朝グリム童話を翻案して創作したのだそう。圓朝は舞台上に大きなろうそくを4本置いて照明を暗くして演じたんですって。きっと怪談のように怖かったでしょうね。


 トリのかい枝さんは子どもの可愛らしさと生意気さ、夫婦それぞれの可愛らしさをたっぷり聞かせてくれました。この落語家さん、以前は「爆笑王」の異名を取り、ドカンドカンと大笑いさせる方でしたが、いまはじっくり聞かせる路線に変わっているようです。

 生の落語を聞くのはずいぶん久しぶりでした。一時、落語にハマって、繁昌亭はもとより、ホールで開かれる落語会にもしょっちゅう足を運んでいました。上方落語ばかりでは飽き足らなくなり、東京の定席にもよく行ったものです。

 そうしているうちにほとんどの噺は複数回、聞くことになり、新作以外はマクラを聞いただけで「ああ、またあの噺か」とわかってしまいます。噺家さんによって演じ方は違いますし、同じ方でもその時によって味わいは異なります。とはいうものの、やはり同じ噺は聞き飽きてしまい、その結果、寄席から足が遠のいていました。
 今回は「昭和元禄落語心中」という切り口でしたので、新鮮さを覚えました。噺そのものはどれも何度も聞いたことのあるものばかりでしたが。

 客席は年齢層が若く、着物女子も多数見られました。客席数はちょうどよく、私たちの座席は1階後ろの方の壁際でしたが舞台を楽しむのに十分でした。
 終演後に食事をするのに良さそうなお店も見つけたし、また行ってみたいです。落語はチケット代がリーズナブルなのがありがたいところです。