冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

とんでもなく面白かったドラマ「スローな武士にしてくれ」

 先日NHKBSプレミアムで放送されたドラマ「スローな武士にしてくれ」がとんでもなく面白かったです。

 どんなドラマか、NHKのサイトから引用しますと、

 

  あの池田屋階段落ちのシーンが、新技術で華麗によみがえる!
  前代未聞の“ハイテク×時代劇制作の舞台裏”ドラマ

  ▼水しぶきひとつひとつを鮮明に見せる世界最新鋭ハイスピードカメラによるスーパースローモーション!
  ▼360度、全方位ぶれずに撮影できるマシンを使ったワンカット13人斬り!
  ▼ワイヤーアクションで宙を舞う池田屋の階段落ち!

  かつて人々を熱狂させた時代劇が、最新の映像技術と熱き活動屋たちの奮闘で、いまだかつてない映像として息を吹き返します。
  このドラマは、涙あり、笑いあり、映像に情熱を傾けるすべての人へのオマージュです。

 

 京都・太秦東映ならぬ京映撮影所。長年、時代劇制作に携わってきた、ふてぶてしい面構えの熟練スタッフたちがいます。そこへNHKから新しいドラマを作って欲しいという依頼が来ます。最新の機器と技術を駆使して時代劇を、というのです。NHKからやって来た担当者は、京映側の危惧を逆に裏切って、MIT卒の帰国子女でありながらとびきりの時代劇オタクという変なヤツでした。

 経費を抑えたい所長は主人公に大部屋俳優のシゲちゃんを起用します。この男、殺陣は超一流なのですが極度に緊張しやすく、セリフを言うと声が裏返ってしまいます。今回のドラマは台詞なしで作れると踏んだのです。スタッフたちは見たこともないハイテクの機材と格闘しながらのドラマ作りを開始します。

 NHKの最新機材をちゃっかり宣伝しながら、時代劇や時代劇作りに携わって来た人々への愛と敬意が散りばめられたドラマでした。出来上がった映像を見せるのではなくて、作る過程を映していくので、その場に居合わせているような臨場感が味わえます。 

 シゲちゃん(内野聖陽)、敵役を演じる城ちゃん(中村獅童)、シゲちゃんの妻で元くノ一女優の如月小雪水野美紀)はもちろん、監督(石橋蓮司)、撮影技師(本田博太郎)、東京から来たNHKの担当者(柄本佑)などなど、みんな好演です。殺陣のシーンは息を呑むような緊張感で見応え満点でした。

 熱いハートと遊び心の両方が満載。楽しくてスリリングで、ほろっとしたり笑ったり。こんなに出来の良いドラマは滅多にありません。興奮してしまいました。

 作・演出は源孝志という人です。調べてみたら、以前、同じBSプレミアムで放送していた「京都人の密かな愉しみ」というシリーズドラマの脚本と演出を担当していたらしいです。あのドラマはいかにも関東人から見た京都のイメージそのままだったので、つまらないなあと思いながら全部見ました。それなりに面白かったんですね。

 今回のこの作品は、超がつくほどの素晴らしい出来栄えでした。