冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

上高地〜(紅葉の)涸沢カールに行きました その2

 夜中に雨が降り始め、二日目の朝、出発時も小雨が降り続いていました。雨具の上だけ着て、ザックにカバーをかけ、涸沢カール目指して出発です。標高差はおよそ800m。常念岳〜燕岳縦走で標高差1260mを登ったり下ったりしたのに比べればちょろいもんさ…と思いたいところですが、決して楽ではありません。

 横尾までは緩やかな登り道です。途中、鋭くそそり立つ岩山が見えます。

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 屏風岩という名前で、クライマーの聖地なんだとか。この絶壁を4日間かけて登るのだそうです。ということは、途中でビバークして眠るということ! 私には考えられません。

 雨は30分ほどで止んでくれました。1時間余りで横尾に到着です。

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 トイレを使い、水を補充して、橋を渡ります。ここからは本格的な登り坂になって行きます。

 本谷橋という長い吊り橋を渡りました。

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 途中、ひどく揺れて怖い! 渡ってから、付近の川原で昼休憩です。

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 この辺りからますます勾配が厳しくなります。ナナカマドの紅葉が美しい。

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 何度か休憩を取りながら、涸沢カールに到着。標準タイムで横尾から3時間ほどですが、ガイドさんはもっとゆっくり歩いてくれたので助かりました。

 涸沢カール。「カール」というのは氷河によって山がお椀のような形に削られた地形を指します。

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 紅葉は3分くらい。「1週間後くらいが見頃ですねえ」とガイドさんが話していました。

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 遠くに見える山々の姿が素晴らしい。

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 こちらはテント場。色とりどりのテントが張られていて、楽しげです。いつもの年はこの3倍くらいの数だそう。

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 私は涸沢カールって、もっと大半が樹林に覆われ、それが紅葉するのだと思っていました。実際には樹林は割と少なく、ゴロゴロと岩か石かがなだれたような斜面が広がっています。ガイドさんの話では、以前はもっと樹林の占める面積が広かったのに、近年の大雨などで山が崩れて今のような眺めに変わってきたのだそうです。

 今夜の宿、涸沢ヒュッテ。

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 テラスで名物のおでんが食べられます。でもとても寒い! スケールの大きい景色を眺めながらのんびりしたいところですが(時間はたっぷりありました)、寒いのでそんなに長くは座っていられません。

 ここでは建物がいくつかに別れていて、私たちのツアーのグループは別棟の3部屋を独占できました。トイレも別棟になっているのが少し不便でした。

 夜、ガイドさんが「星を見に行きませんか」と誘いにきてくれました。部屋のある別棟から少し離れたヘリポートで星を眺めるとよく見えてきれいなのだそうです。ほとんどの人が出かけて行きましたが、私は寒いのでパスしました。その後しばらくしてから、「月がきれいですよ」とのお誘い。今度は部屋のすぐ前からでも見られるというので、しっかり着込んで外に出ました。

 なんという大きくて明るい月でしょう。こんな月を見たのは何十年ぶり? 今夜は中秋の名月なのです。じっと見ていると、月から不思議なパワーが伝わってくるよう。でもやっぱり寒いので、短時間で引き上げました。

 この夜もあっさり寝ついて熟睡できました。