冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

白山 3日目

 7月28日(木)。夜明け前にゆこりんさんの声で目が覚めました。「外、晴れてるみたい」。

 今から御前峰の山頂に登ってもご来光に間に合わないので、山小屋の近くの見晴らしスポットに行ってみました。太陽が登って空の色が明るくなるのだけは見ることができました。

 

 前に白山でご来光を拝んだことのあるゆこりんさんによると、神官が太鼓を打ち鳴らしたりして、「信仰の山」にふさわしい神妙な雰囲気なのだそうです。今回、その経験ができなかったのは唯一、残念なことでした。もしもう一度白山に登る機会に恵まれたら、その時はぜひ頑張って暗いうちから山頂を目指したいです。

 朝食を済ませ、6時半ごろ山小屋を出発。観光新道というルートを使って登山口まで下ります。

 黒ボコ岩。被写体はゆこりんさんです。

 

 初めは比較的なだらかな道が続きました。 

 このあたりは植生が少し違っていて、マツムシソウ

 

 

トリカブトなど、昨日まで見られなかった花に出会いました。

 

お花畑を眺めながら歩くのは最高に幸せです。

 

 

 途中から道はだんだん険しくなりました。ふとしたことからメンバーのSさんが路肩から足を踏み外して落ちてしまいました。幸い、落差が小さかったので、ザックを引き上げた後、何とかはい登ることができました。怪我がなくて良かった!

 しばらく歩いて行くと、下の方から「きゃっ」という女性の声が聞こえてきました。降りていくと、若い女性が路肩から落ちています。落ちた場所はSさんと同じくらいで、頑張れば道へ這い上がれそうに見えました。体格の大きな男性が引き上げようとしていて、ザックを外すように言っているのですが、それがなかなかできないようです。周囲に何人か、同じグループの人たちがいたので、「大丈夫ですか?」と声をかけてみると、「ベテランの人が二人いるから大丈夫です」とのこと。そうでなくても狭い山道なので、私たちはそれ以上立ち止まらずに降りて行きました。

 その後、昨日お世話になった二人の自然観察員のうちの一人(女性)が登ってきたので、挨拶しました。聞けば、「団体客に怪我人が出たので様子を見に行くところなんです」とのこと。先程の女性は怪我をしているらしいのです。だからザックを肩から外すことができなかったのでしょう。

 まもなく救急車のピーポー音が聞こえてきました。救急隊員とすれ違うことはなくて、どうやって救助したのか、よくわかりません。山は楽しいけど、常に危険と隣り合わせ。そのことを改めて痛感しました。

 標高差1,300mを5時間余りで一気に下ります。勾配が急で岩が多く、雨で濡れているので危険がいっぱい。うっかりすると足を滑らせてしまいます。実際、私を含めて5人中4人までが1度は転びました。でも、尻餅をつく格好で転んだだけで、怪我はしなくてすみました。この観光新道、下るのが大変ですが、登るのはもっときついみたいでした。

 集中力を途切らせないように歩き続けて、12時前、やっと下山できた時はしんそこほっとしました。ひどい筋肉痛で太ももが痛くてたまらず、膝もガクガクしています。

 車に乗り込んで白峰温泉へ。汗を洗い流してお湯に浸かってすっきりさっぱり。昼食を済ませてから一路、宝塚へ。渋滞に巻き込まれず、6時過ぎに到着しました。

 白山へは1泊で行く人が多く、中には日帰りする人もいるのだそうです。ゆこりんさんが2泊で予定を組んでくれたおかげで、足の強くない私でも無理のない範囲で歩き通すことができました。