冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

3度目の句会で首位に!?

 月に1度の初心者向け俳句講座。今日は私にとって3度目の句会でした。講師の先生を含め8人が参加し、一人は欠席で句だけを提出しました。合計25句です。

 受講生は佳作2と特選1を選びます。先生は佳作5と特選3を選び、今回は特選に「天・地・人」の区別をつけませんでした。

 私が投句した3句のうち、

    荒物屋また一つ消え梅雨に入る

 が、受講生の特選1と佳作2、そのうえ先生の特選をいただきました! わーい!

    芍薬や玻璃の器の大吟醸

 この句は、受講生の佳作2と、先生の佳作をいただきました。

 ほかに人気が高かったのはMさんの次の句です。

    どくだみの古家つつみて白き闇

 受講生の特選2、佳作1、それに先生の佳作をゲットしていました。ただ、この句について先生は「〜て」という表現はつい使ってしまいがちですが、描きすぎてくどくなってしまう。思い切って切った方がいいです、とおっしゃり、「どくだみや古家をつつむ白き闇」と添削されました。なるほど、ぐんと良くなりますね。

 私が投句した残りの1句、

    街路樹の日々に膨らむ薄暑かな

は佳作一つもいただけず、撃沈しました。自分としては真面目に写生したつもりでしたが、平凡でしたね。

 試みに受講生の佳作を1点、特選を2点、先生の佳作を3点、特選を4点として獲得した点数を合計してみると、Mさんの「どくだみの」と私の「荒物屋」がどちらも同じ8点。でも、私の句には先生の特選が入っているので、8点の上、8点の下と分けるなら、私の句が8点の上ということになります。

 受講生別に合計点を出してみると、Yさんと私が首位で同じ13点。が、ここでもYさんには先生の特選がないので、僅差で私が勝った(?)ことになります。
 3度目にしてトップに立った! と大喜びしています。勝ち負けじゃないのに、ちょっと変だよねと思いつつ。

 「荒物屋」の句は、先生も受講生もほぼ同じ世代なので、共感を得たようです。「荒物屋また一つ消え」は実景で(ただし2年ほど前のことですが)、季語は取り合わせました。

 「芍薬や」の句は推敲してかなり変えました。
 先日、熱を出した孫の子守をしたお礼にと、娘が大吟醸の720ml入りを2本、送ってくれたのです。私は大吟醸が大好き。でも高いので、自分では買いません。
 娘に「ありがとう。気を使わないでいいのに。高かったでしょう」とメールすると、高島屋で試飲販売していたので味見して選んだのだとか。1本は割と高いけど、もう片方は意外と安かったのだそうです。高い方は純米酒で、安い方はそうではありませんでした。

 このお酒をガラスのぐい呑みに注いで飲みながら、ちょうど今、庭で咲いている紫陽花を季語にして

    紫陽花や玻璃のグラスの大吟醸

 と詠んだのが最初です。でも考えてみると、玻璃=ガラスで、グラスも元はと言えばガラスのことだったはず。それだと、ガラスが2度重なっています。紫陽花も、大吟醸とは釣り合いが取れない気がして来ました。

 ここで思い出したのが、長年習っている茶道での、お茶事の稽古です。私が師事している先生はたびたびご自宅でお茶事の稽古をしてくださいました(今は高齢で無理になりました)。
 お茶事といえば懐石(料理)が付き物。懐石には必ず日本酒が添えられます。違う種類のお酒が2度、出されるのですが、先生はいつもそのうち1回は大吟醸にしてくださいました。夏のお稽古ではガラスの酒器に入れるので、とても涼しげです。
 長時間の正座に疲れてソファで一休みしていると、庭には芍薬が咲いていたりします。 そんなことを思い出して、句を作り直しました。茶道を習ってきたことが句作に役立ったのは初めてです。

 講師の先生は「芍薬は牡丹と違って花屋さんでも蕾の状態で売られています。それを買って花瓶に活けると、花が開きます。私はお酒を飲まないので大吟醸の味はわかりませんが、上等の日本酒がガラスの器に入っているというところがとても涼しげです」と解釈されました。

 付け加えて、「この句の作者が男性だとすると、少し色っぽい句だとも読めます。立てば芍薬座れば牡丹、と言うように、芍薬は美人を現すこともある。女性と二人、ガラスの器で大吟醸を飲む時間を過ごした後、この句を相手に送ったら、気の利いたラブレターになりますから」ですって。
 私が芍薬に抱いていたイメージは比類なく豪華で品が良く、格の高い花、ということだけで、美人のシンボルだなんてことまではまったく思いが及んでいませんでした。

 今回、先生の3句は受講生が誰一人、佳作にも選ばず、先生は「いつかこんな日が来ると思っていました」と苦笑い。講師をするほどの方でもそのときどきで好不調があるんですね。
 まして私などは…。次回の句会でも今回のような評価が得られるかどうかは不明です。でも、努力は続けます。