まず1000句を目指す
藤田湘子という高名な俳人がいます。残念ながら故人です。この人の名前を初めて知ったのは『俳句という愉しみ』(小林恭二著、岩波新書)でした。
俳句に興味を持ち始め、でもまだ実作はしていなかった頃、旧友が勧めてくれたのです。『俳句という遊び』という本と連作です。
この2冊で初めて知った俳人がたくさんいます。何よりも、この2冊を読んで、俳句の世界の奥深さにどーんと大きな衝撃を受けました。正直、「ぶったまげた」のでした。
藤田湘子に話を戻しますと、この人には俳句関連の著書が多数あります。俳句にはまりだしてから、いろんな人が書いた俳句関連の本をずいぶん読みましたが、この人の著書が一番面白く、分かりやすく、実用的でした。
「俳句は韻文であることを忘れてはいけない」「季語の持つ力を信じること」「はじめは頑ななまでに五・七・五の定型を守るべき」などなど、大事なポイントがいくつも記されていました。
湘子の教えの中でもとりわけ今、やってみようと思っているのは、「多作を心がけること」です。とにかくどんどん作ること。1年で1000句だったかな? そんなペースで作っていくうちに、俳句というものがだんだんわかってくるのだそうです。
いつでも俳句を書き留められるようにと、小さめのノートを買って持ち歩くようになり、初めて句を記したのは昨年の10月29日でした。そして一昨日、やっと250句を超えました。
まだまだ俳句の作り方はよくわからないまま、手探り状態ですが、臆せずにせっせと作っていこうと思っています。
三十年前の黄と青冬帽子
初孫と友の笑む声水ぬるむ
講堂も仮設なりけり卒業す
(長女の卒業式を思い出して。震災の翌年でした。)
雫(しずく)ぽたりおろし生姜や春浅し
空色のスニーカー跳ぶ春日かな
眠たげな月が見守る猫の恋
春風に電線揺れる珈琲屋
通販もSに冷たし春炬燵
朝ごとの厠(かわや)掃除や春浅し
炭うるはし訪(おとな)ひを待つ茶室かな