冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

お茶の先生、米寿の初釜

 

 12日(土)はお茶の先生宅での初釜でした。
 昨年、米寿を迎えられた先生は、このところさすがに足が悪くなってこられ、正座から立ち上がる動作を繰り返すのが無理なようす。これまでは表のお茶室に台子(だいす)を据えて、格式の高いお点前をなさっていたのですが、今年は奥の和室で立礼(りゅうれい)席でした。点茶盤という裏千家独特のしつらえを使って、主客ともに椅子に座っての濃茶席です。

 点茶盤の上に富士釜。浜松文様の皆具。吉祥の道具組みです。壁際に置かれている風炉先は黒柿です。

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 息子さんがやはりお茶の先生をなさっているので、多分、息子さんのアイデアなんだろうなと想像しました。先生が立ったり座ったりに難儀しておられるのを見るのは私も辛いので、立礼席にしていただいて良かったです。

 点茶盤はそれなりに格の高いしつらえなのですが、何といっても立礼は気楽です。和室に座る濃茶席に比べるとくだけた雰囲気があるせいか、とても和やかな空気に包まれました。普通なら濃茶席は決まり事も多くて緊張感の漂うお席なのです。
 私は今年も正客を仰せつかったのですが、アットホームな雰囲気に助けられ、あれこれと気を使い過ぎずにすみました。

 豪華な幕の内弁当をいただいた後、薄茶席へ。こちらは息子さんの指導で、息子さんが教えている若いお弟子さんたち7人が担当されていました。
 なんと、夜咄(よばなし)の茶事の趣向です。

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 お茶室の雨戸を立てきって室内を暗くし、床の端に置いたあかり(これは電球を使ったもの)と、あとは和ろうそくを立てた手燭だけで薄茶をいただきました。

 暗い室内に座り、和ろうそくの炎の揺らぐ中でお点前を拝見したりお菓子とお茶をいただいたり。お道具の拝見の時は客が手燭を順に送って、お道具が見えやすいようにしました。ワクワクするようなお席でした。

 先生のお宅にいつものように30人近い弟子が集まり、あちこちで久々の再会を喜び合う声が上がっています。皆が着物を着ているので、家の中が華やかな色彩に満ちて、お正月らしい気分を満喫することができました。
 今年も先生がお元気で、初釜を催してくださり、そこに参加できたことが何よりうれしくてたまりませんでした。

 この日は去年の初釜と同じ装いにしました。こちらをご覧ください。