能「弱法師」(普通バージョン、京都観世会館)
土曜に続いて日曜も観能でした。京都観世会二月例会。プログラムは、
能 弱法師
狂言 二九十八
能 源氏供養
仕舞 白楽天
笹之段
須磨源氏
能 烏帽子折
でした。
「弱法師」は先日の大槻能楽堂での公演とは異なり、普通バージョンです(「普通バージョン」というのは私が勝手につけた呼び方で、実際にはこんな言い方はしないだろうと思います)。
二通りの「弱法師」を見ようと思ってこの公演のチケットを申し込んだのかというと、そういうわけではなかったのです。ただ単純に、大槻文藏さんの舞台が見たい、味方玄(しずか)さんの舞台が見たいという動機で両方のチケットを手に入れて、後になって「あ、どちらも弱法師だ!」と気づいたというわけです。間が抜けていますよね。
というわけで味方玄さんの「弱法師」(普通バージョン)なのですが、途中で眠くなってしまい、半分くらいしか見ていません。
狂言 二九十八
能 源氏供養
仕舞 白楽天
笹之段
須磨源氏
能 烏帽子折
でした。
「弱法師」は先日の大槻能楽堂での公演とは異なり、普通バージョンです(「普通バージョン」というのは私が勝手につけた呼び方で、実際にはこんな言い方はしないだろうと思います)。
二通りの「弱法師」を見ようと思ってこの公演のチケットを申し込んだのかというと、そういうわけではなかったのです。ただ単純に、大槻文藏さんの舞台が見たい、味方玄(しずか)さんの舞台が見たいという動機で両方のチケットを手に入れて、後になって「あ、どちらも弱法師だ!」と気づいたというわけです。間が抜けていますよね。
というわけで味方玄さんの「弱法師」(普通バージョン)なのですが、途中で眠くなってしまい、半分くらいしか見ていません。
「世阿弥自筆本」との違いで気づいたことは、まず、登場人物が少ないことでした。世阿弥自筆本では父親の通俊はアイで、もう一人、しもべ役のアイがいます。ワキは四天王寺の住僧で、同じく住僧のワキツレが二人います。シテにも妻のシテツレがいるので、舞台の上はかなりにぎやかでした。
今回は、シテ=俊徳丸、ワキ=高安通俊、アイ=通俊の下人と、いたってシンプルでした。舞台上にたくさん人がいることで彼岸中日の四天王寺のにぎわいが想像できたのですが、今回はシテツレさえおらず、俊徳丸の孤独が際立って見えました。
シテの装束は地味ではありましたが明るい色合いで、若さを表現しているように思いました。
問題の、シテがしたたかに転ぶ場面、文蔵さんは笛方の少し前あたりで転んでいたように思うのですが、玄さんは舞台のほぼ中央でした。
改めて不思議に思ったのは、通俊が人目をはばかり、夜遅くなってから自分が父親であることを俊徳丸に名乗ることにして、それまでの間、俊徳丸の哀れな姿を傍観していることです。世間体を気にせず、もっと早く名乗って、高安へ連れて帰ってやれば、俊徳丸は群衆に揉まれて転倒して絶望するようなこともなかったのに、と思うのです。
こんな父親に家へ連れて帰ってもらって、俊徳丸は本当に幸せになったのかどうか、不安の残る結末でした。
シテ以外の主な出演者を記しておきます。
ワキ 小林 努
アイ 茂山逸平
大鼓 河村総一郎
小鼓 曽和鼓堂
笛 杉 市和
地頭 武田邦弘
今回は、シテ=俊徳丸、ワキ=高安通俊、アイ=通俊の下人と、いたってシンプルでした。舞台上にたくさん人がいることで彼岸中日の四天王寺のにぎわいが想像できたのですが、今回はシテツレさえおらず、俊徳丸の孤独が際立って見えました。
シテの装束は地味ではありましたが明るい色合いで、若さを表現しているように思いました。
問題の、シテがしたたかに転ぶ場面、文蔵さんは笛方の少し前あたりで転んでいたように思うのですが、玄さんは舞台のほぼ中央でした。
改めて不思議に思ったのは、通俊が人目をはばかり、夜遅くなってから自分が父親であることを俊徳丸に名乗ることにして、それまでの間、俊徳丸の哀れな姿を傍観していることです。世間体を気にせず、もっと早く名乗って、高安へ連れて帰ってやれば、俊徳丸は群衆に揉まれて転倒して絶望するようなこともなかったのに、と思うのです。
こんな父親に家へ連れて帰ってもらって、俊徳丸は本当に幸せになったのかどうか、不安の残る結末でした。
シテ以外の主な出演者を記しておきます。
ワキ 小林 努
アイ 茂山逸平
大鼓 河村総一郎
小鼓 曽和鼓堂
笛 杉 市和
地頭 武田邦弘
次の「源氏供養」はほとんど眠ってしまい、後シテの装束が美しかったことしか覚えていません。
仕舞は、
白楽天 牧野和夫
笹之段 浦部幸裕
須磨源氏 武田邦弘
仕舞は、
白楽天 牧野和夫
笹之段 浦部幸裕
須磨源氏 武田邦弘
という顔ぶれ。どの方も私は存じ上げないのですが、「笹之段」(「百万」の一部)の浦部幸裕さんの仕舞がとても密度が高く、キレの良い舞いぶりで感嘆しました。
おしまいは「烏帽子折」。これがとても面白くて楽しめたのですが、長くなりましたので、稿を改めます。
おしまいは「烏帽子折」。これがとても面白くて楽しめたのですが、長くなりましたので、稿を改めます。