冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

お茶(茶道)の楽しみ その3 薄茶と濃茶、炭手前

 お茶の稽古で点てるお茶には、薄茶と濃茶(こいちゃ)の2種類があります。薄茶は少なめの抹茶に多めのお湯を注ぎ、茶筅で泡立てます。さらりとした、飲みやすいお茶です。どの程度泡立てるかは流儀によって違います。

 濃茶は多めの抹茶に少なめのお湯を注ぎ、茶筅でねっとりなめらかになるまで練り上げます。どろっとしているので、慣れないうちは飲みにくく感じられるかも。濃茶に使う抹茶は薄茶用より高級な場合が多いです。同じお茶の木でも、一番良い部分を濃茶に使い、そうでない部分を薄茶に使うと聞いたことがあります。

 薄茶はお茶のカジュアルな形、濃茶はフォーマルな形と言えます。和風の喫茶店で薄茶と和菓子のセットを用意しているところはときどきありますが、濃茶にはお目にかかりません。お寺などでお茶席が設けられていて、誰でもお茶がいただけるようになっている場合も薄茶です。

 濃茶は、抹茶の値段ががもともと薄茶より高い上にたくさん使うので、先生によってはめったにお稽古させてくれないことがあるようです。幸い、私が習っている先生は、薄茶と濃茶、両方のお点前が一通りできるようになったあとは、毎回、両方のお稽古をしてくださいました。

 お茶を点てる「お点前」のほかに、炭をおこす「炭手前」(すみでまえ。文字の表記は流儀によって違うかもしれません)の稽古もします。お茶に使う湯は鉄製の釜で沸かすのですが、そのときに使う火は炭を燃やすのです。11月から4月末までは「炉」、5月から10月末までは「風炉(ふろ)」という所に炭を入れて火をおこします。どんな炭をどう入れるか、手順が決まっているのです。

 Uチューブで動画を見つけました。炉の場合。

youtu.be

 この動画では着物を着ていますが、ふだんのお稽古は洋服でかまいません。着物を着ていけば、それはそれで歓迎されます。

 風炉の場合。

youtu.be

 炭手前がうまくできると、順調に火がおこります。炭に火がついて赤々と燃えている様子は見とれるほど美しい。私はこの炭手前が大好きでした。お茶に使う炭は見た目も立派でとても高価なので、これも先生によってはなかなか稽古させてもらえず、電熱器で済ませる場合が多いようです。私のお茶の先生はいつも炭を使ってくださっていたのですが、90歳を過ぎて認知症が進んできてからは、後始末が心許ないからか、やめてしまわれました。