冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

能「道成寺」ほか(「第五回記念 杉信の会」、京都観世会館)…その1

 白馬から帰った翌々日の7月30日(日)、京都観世会館へ。「第五回記念 杉信(すぎしん)の会」を見に行きました。「杉信」というのは笛方(笛を吹くことを専門にしている能楽師さん)の杉信太朗さんのニックネームです。

 初めて杉信太朗さんの笛を聴いたのがいつだったのかは思い出せないのですが、「この人の笛はすごい!」と思ったのは今から4年ほど前のことでした。過去記事を調べてみると、2019年1月15日の記事に、

 「音色が驚くほど濃密で滑らかで気迫に満ちていました。この方の笛は今までにも聴いたことがあるはずなのに、この日初めて聴いたような驚きに打たれました。将来が楽しみです。」

と記しています。もともと信太朗さんの父君、杉市和さんの笛が大好きだったので、「お父さんの笛も素晴らしいけど、息子さんもまだ若いのにとんでもない才能の持ち主だ」と感じていました。その後ネットで調べたら、信太朗さんのファンは多く、「スギシン」という愛称で親しまれていることがわかりました。

 「杉信の会」という公演が開かれていることも以前から知っていましたが、ほかの予定(たいていは山行)と重なったりして、ずっと行けずにいました。(追記;後で気づいたのですが、第一回から第四回までは東京での公演でした。)

 今回は「道成寺」が上演されると知って、ぜひ行きたいと思いました。「道成寺」は能の大曲の一つで、なかなか上演されないのです。

 公演情報を入手した時期が遅くて、前売り開始日のずっと後だったので、「もうチケット売り切れてるかも」と諦めの境地だったのですが、ダメもとで「杉信太朗事務局」にメールを送って申し込んでみたら、2階席なら残っているとのこと。そして1階席にキャンセルが出たら、そちらに変更してもらえるとのことでした。とりあえず2階席を予約したら、その後、連絡が来て、1階席の予約をとることができました。後ろの方ではありますが、正面だし、補助席じゃないし、本当にラッキーでした。

 この公演、杉信さんの個人的人気のほかにも、チケットが入手困難になる理由がありました。能楽師さんの顔ぶれが極めて豪華なのです。次の記事に続きます。