冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

能「道成寺」ほか(「第五回記念 杉信の会」、京都観世会館)…その2

「第五回記念杉信の会」の曲目と出演者

1、三番叟(さんばそう) 京舞(創作) 舞 井上安寿子 後見 観世淳夫 笛 杉信太朗

2、ごあいさつ

3、舞囃子猩猩乱(しょうじょうみだれ)」 猩々 観世淳夫、林宗一郎

   大鼓 谷口正壽、小鼓 林吉兵衛、太鼓 小寺真佐人、笛 左鴻泰弘(杉信さんの兄弟子)

   地謡 井上裕久 ほか   

4、居囃子「石橋(しゃっきょう)」

   大鼓 河村凛太郎、小鼓 吉阪一郎、太鼓 小寺真佐人、笛 杉信太朗

   地謡 深野貴彦、味方 玄、浦田保浩、田茂井廣道

5、狂言「末広かり」 茂山七五三、茂山千五郎茂山忠三郎

   大鼓 河村 大、小鼓 成田 奏、太鼓 小寺真佐人、笛 杉信太朗

6、一調一管「鷺」 謡 金剛龍謹  太鼓 前川光長、笛 杉 市和

        (休 憩)

7、能「道成寺

   白拍子、蛇体 片山九郎右衛門  道成寺従僧 宝生欣哉 ほか

   アイ 能力 茂山逸平、茂山 茂

   大鼓 亀井洋佑、小鼓 曽和鼓堂、太鼓 前川光範、笛 杉信太朗

   地謡 浦田保親ほか

   鐘後見 味方玄ほか

   狂言後見 茂山千五郎ほか

 

 京都観世会のリーダーで関西の観世流の中心人物でもある片山九郎右衛門さんをはじめ、京都観世会の主な能楽師さんたちが顔をそろえています。ゲストの井上安寿子(やすこ)さんは京舞の家元で人間国宝の井上八千代さんの娘さん。もう一人のゲストの金剛龍謹さんは金剛流の若宗家です。

 当日配られたパンフレットに第一回からのプログラムと出演者名が載っていたので見ますと、最初から片山九郎右衛門さんが地頭(地謡のリーダー)として出演していますし、銕(てつ)仙会から観世銕之丞さんが後見として加わっています。銕仙会は観世銕之丞さんが率いる団体で、東京で活動しています。そればかりか、小鼓の大倉源次郎さん(人間国宝)、大鼓の亀井広忠さん、狂言方山本東次郎さん(人間国宝)、野村萬斎さんという錚々たる顔ぶれが第一回から四回まで出演しているのです。

 京都観世会だけでなく東京を活動拠点としている有力な方々も出演されているところに、能楽界が杉信太朗さんという実力と人気を兼ね備えて人柄も良い笛方さんを全面的にバックアップしようとしている姿勢が強く感じられました。

 観世銕之丞さんと井上八千代さんはご夫婦で、井上安寿子さん、観世淳夫さんはその子ども、片山九郎右衛門さんは井上八千代さんの弟。今回、井上安寿子さんと観世淳夫さんが出演しているのは、そんな関係もあるのでしょう。

 ここまで主にシテ方能楽師さんについて書いてきましたが、囃子方の顔ぶれも多くは若手から中堅までの実力者ばかり。こんな公演はめったにありません。行く前からワクワクしていました。

 前置きばかり長くなってしまいました。公演の感想は次に書きます。