『寝る前に読む一句、二句 〜クスリと笑える、17音の物語』(ワニブックス)
しばらく更新をサボっていたら、広告が増えて驚いています。読者の方のパソコンやスマホの画面から見ても、広告が増えているのでしょうか。広告なしのプラン(有料)に変えようと思ったりもしたのですが、調べてみると一番安い有料プランでは、パソコンで見るときは広告が入らないけど、スマホだと表示されるのだそうです。それじゃあ半分しか意味がないような気がして、思案中です。
それはさておき。1週間ほど前、何気なく本棚を眺めていて、表題の本を見つけたのです。いつ買ったのか、まったく記憶がない! 近頃はこんなことがよくあるので、あまり動揺しないことにして、読み始めると、これがとびっきり面白いのです。
著者は、テレビの「プレバト!」でおなじみの俳人、夏井いつきさんと、妹のローゼン千津さん。ツーショット写真が載っているのですが、顔はちっとも似ていません。でも、個性的でかなり変わっているところは「この姉にしてこの妹あり」です。
夏井いつきさんにローゼン千津さんという妹さんがおられることは、この本で初めて知りました。プロフィールの部分を紹介します。
愛媛県生まれ。大阪芸術大学舞台芸術科卒業。いつき組(注:夏井いつきさんが「組長」として主宰している俳句集団)俳人。平成元年、黒田杏子(ももこ)先生の藍生(あおい)俳句会に入門し、俳句を始める。ニューヨークで十年余り育児を楽しみ、平成23年帰国後、姉いつきの紹介で、「俳句を作りながら俳都松山を歩く」ガイドになる。55歳の誕生日に、英語と日本語の句集『55』を上梓。現在、アメリカ人チェリストの夫ニックと山中湖村在住、演奏旅行の付人として世界を回っている。
これを読んだだけでもそうとう個性的で「変わった」人物像が想像できます。そして姉妹ともに、子ども二人を抱えての熟年再婚経験者なのだそうです。
この二人が30の俳句を選び、それぞれについて対談する、というのがこの本の内容です。句については、わかりやすい解説がついているので、俳句初心者でも楽しめます。私がとりわけ印象に残った句は
サルビアを咲かせ老後の無計画 菖蒲あや
親芋の小芋にさとす章魚(たこ)のこと フクスケ
来ればすぐ帰る話やつりしのぶ 西村和子
北窓開くお前とは別れたい 如月真菜
犬入院猫退院の月夜かな 波多野爽波
それは少し無理空蝉に入るのは 正木ゆう子
などです。句の後の対談は抱腹絶倒だったり、しみじみと深かったり。二人の子どもの頃からの性格や生きてきた道筋が散りばめられて興味深く、句から広がっていく世界はとてもユニークで、読んでいてウキウキしました。
カルチャーセンターの初心者向け俳句講座をやめてから、俳句は一句も詠めていない私ですが、久しぶりに「やっぱり俳句っていいなあ」「また俳句を詠みたいなあ」という気持ちが沸き起こってきました。