冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

朝ドラ「おちょやん」

 放送が始まった朝ドラの「おちょやん」。最初の方は子役のうまさに舌を巻きつつ、主人公を取り巻く環境が悲惨すぎて見ているのが辛くなり、とびとびにしか見ませんでした。主役が杉咲花に変わってからは、安心して面白く見ています。

 歌舞伎「夏祭浪花鑑」の「長町裏の場」、通称「泥場」が演じられたシーンにはワクワクしました。劇中劇の主役の団七九郎兵衛を演じる役者(早川延四郎)が篠原涼子演じる芝居茶屋の女将の元カレだったという設定でした。片岡仁左衛門さんが監修をなさっているし、この役者役の方が「片岡松十郎」というお名前だったので、今まで知らなかったお名前ですが、きっと片岡家一門の脇で活躍している方なんだろうなと想像していました。なかなかの二枚目だし、演技もしっかりしています。団七に殺される舅・義平次役は片岡千次郎さんで、この方のお名前は知っていました。

 調べてみると、二人とも松竹が開いた「上方歌舞伎塾」の1期生なのだそう。上方歌舞伎塾卒業生の中心メンバーとして公演もなさっているようです。この朝ドラで一気に知名度が上がったので、これから活躍の場が広がるかもしれません。

 芝居小屋のセットは兵庫県出石市にある「永楽館」そっくりに建てられていたそうです。永楽館といえば片岡愛之助が今ほど有名でない頃、毎年「永楽館歌舞伎」を上演していた会場で、私も一度、観劇に行ったことがあります。あの公演は今も続いているのかなあ。

 主役の杉咲花は10代の頃から活躍している俳優さんです。演技力はピカイチ。「夜行観覧車」(TBS、2013年)で家庭内暴力に荒れ狂う中学生を演じたのが強く印象に残っています。母親役は鈴木京香でした。

 篠原涼子はしばらく見ないうちに少し太ったので、女将さん役にぴったりなのですが、台詞回しが一本調子で前より演技が下手になったように思えます。方言の習得に苦戦しているのかな? と想像したりしています。父親役のトータス松本、ここまで救いようのないアル中のダメおやじを上手に演じてしまって、人気に影響が出ないだろうかと他人事ながら心配になってしまいます。

 義母役を演じていた宮澤エマは、元総理・宮沢喜一の孫なんだそうです。これまでミュージカルで活躍していて、ドラマ出演はほとんど初めてなのに、憎まれ役を巧みに演じて、今後演じる役どころに良くない影響が出ないだろうか? と、あるブロガーさんが気にしていました。

 脚本は八津弘幸池井戸潤原作のドラマをいくつも手がけてきたヒットメーカーですから、面白くならないはずがありません。最近は朝ドラ離れしていた私ですが、今回のドラマは目が離せなくなりそうです。