冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

「おかえりモネ」

 朝ドラの「おかえりモネ」。放送が始まってしばらくは「なーんかつまらない」という感想で、見たり見なかったりでした。ところが、途中からだんだん面白くなってきて、中頃から最終回までは欠かさず見続けました。

 今年は東日本大震災から10年。あの日、その場に居合わせた人たち、たまたまいなかった人たち(主人公のモネはこちらでした)のそれぞれが心に受けた深い傷。長い年月をかけて少しずつその傷を乗り越え、閉ざしていた心を開き、つながりを取り戻していくさまが描かれていました。

 10年も経ったのに、今さら? という評価もあるでしょう。でも、気候危機が進んで、日本列島のどこでいつ、大きな災害が起きるかわからない今、このドラマで扱った内容はとても普遍的だと、私は感じました。

 主人公の永浦百音(愛称、モネ)を演じた清原果耶は大げさにならない抑えた演技で好感が持てました。落ち着いた、低めの声でゆっくり話すのがとてもよかった。「おちょやん」の杉咲花の絶叫調のせりふ回しに辟易していたので、なおさらでした。ほかの出演者もおおむねゆっくりめ、低めの声だったので、見ていて心が落ち着きました。ただ、夏木マリのガラガラした声は耳障りに感じられて残念でした。

 津波で妻を失った及川新次役の浅野忠信。なぜか、どうしても漁師に見えませんでした。そんなワイルドな職業ではなくて、もっと理知的? 都会的? な匂いが漂っていました。

 菅波先生役の坂口健太郎は「とと姉ちゃん」に次いで2度目のヒロインの相手役でした。最初、この人が登場した時、「まさか、またヒロインの恋人になったりするんじゃないよね?」と思ったのですが、その「まさか」なのでした。朝ドラで同じ俳優さんが2度もヒロインの相手役を演じたことって、今まであったのでしょうか。まあ、どうでもいいことではありますが。

 今週始まった「カムカムエヴリバディ」、いきなり英語のナレーションが入ったのにはたまげました。いよいよ日本語は風前の灯か? と悲しくなったけど、そういうわけでもないみたい。村上虹郎がわりといい役で出ているので、期待しています。しかし、YOUに戦前のお母さん役は似合わないなあ。