冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

能「定家」(大槻能楽堂)

 先週末、大槻能楽堂で能「定家」を見ました。

 当日配られた資料からあらすじをお借りします。

 

 北の国から都へやってきた旅の僧が、千本辺りで冬枯れの木立に残る紅葉の美しさなどを愛でていると、時雨にあってしまった。雨宿りに近くの東屋へ立ち寄ると、「ここがどういう場所かご存知ですか」と若い女が声をかけてくる。聞けばそこは「時雨の亭(ちん)」といい、藤原定家が建て、時雨の頃にはここで歌も詠んだところだという。

 しばらく定家の歌などをしのんでいたが、女に供養を乞われ、姿が見えぬほど葛(かずら)がからみついた石塔の前にやってきた。これは式子内親王のお墓で、からみついた葛は「定家葛」。恋仲にあった定家の妄執だという。そして自分こそ式子内親王であると告げ、供養を僧に頼んで墓の中へ姿を消してしまう。

 僧が供養をしていると、憔悴した内親王の霊が現れた。僧の供養によって定家の妄執から解き放たれた喜びを語り、舞を舞うが、それも束の間のことで、また再び定家葛のからみつく墓の中へと消えていった。

・・・・・・・・・ここまで

 主な出演者は次のとおりでした。

シテ(前シテは里女。後シテは式子内親王) 観世清和

ワキ(旅僧) 福王茂十郎

ワキツレ(従僧) 福王和幸、中村宜成

大鼓 亀井忠雄

小鼓 飯田清一

笛  一噌庸二

 

後見 大槻文藏、赤松禎友、観世三郎太

地頭(地謡のリーダー) 梅若 実

 

 次の記事に続きます。