冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

甲本雅裕、迫真の演技(朝ドラ「カムカムエヴリバディ」)

 この数日、朝ドラの甲本雅裕の迫真の演技に目が釘付けになっています。主人公、橘安子(上白石萌音)の父親、橘金太。仕事一筋の和菓子職人という設定です。

 ざっくりと、この間のストーリーを説明すると。

 舞台地になっている岡山が空襲を受け、焼け野原に。安子は実家の家族を探して歩き回ります。すると、放心状態で座り込んでいる金太を見つけます。金太は妻と母を防空壕に入らせ、自分は近所の人たちを助けたりしていたのです。そうこうするうちに、焼夷弾防空壕を直撃。妻と母は亡くなってしまいました。「自分が防空壕に行け、と言ったからだ」と金太は号泣します。

 あまりの衝撃に心身を病んでしまい、しばらく安子の嫁ぎ先、雉真家で静養することになります。安子は戦地に行っている夫、稔(松村北斗)との子どもを義母(YOU)に取られたような形になっており、父の看護に心を尽くしますが、金太は廃人同様になってしまい、話しかけても食事をすすめても寝たままで反応すらしません。

 ある日、安子は焼け跡の闇市で小豆を見つけて買い、見よう見まねであんを炊きます。砂糖はまだ配給されておらず、闇市にも出回っていないので、ほかの甘味料(サッカリン?)を使います。ようやくできたあんを金太に食べてもらおうとしますが、金太は受け付けません。

 安子はおはぎ(金太が父親から受け継ぎ、和菓子屋で一番美味しいお菓子だった)を作り、「おばあちゃんとお母さんにお供えしようね」と話しかけて、金太に食べさせようとします。金太はその手を払いのけ、安子は絶望してその場を去ります。すると金太はおはぎを一口だけ食べ、台風が迫って大雨が降る中を飛び出していきます。気づいた安子が探しに行くと、金太は和菓子屋が燃え尽きた場所にいて、地面を掘り返しています。出てきたのは小さな缶。そこには配給された中から節約して貯めておいた砂糖が入っているのでした。「あんなまずいおはぎでは供えられん」。

 自分のせいで(本当はそんなことはないのに)妻と母を死なせてしまったことを娘に告げたときの号泣。雉真の家の座敷にのべた布団の上での号泣。廃人同様になった状態での様子やセリフ。そして、安子が作ったおはぎをきっかけに、ようやく立ち直ろうとし始めたときの演技。などなど、すべてが真に迫っていて、すごい! と感嘆してしまいました。

 いやー、甲本雅裕って、前からうまい俳優さんだとは思っていたけど、ここまでとは知らなかったー。朝から素晴らしい演技を見せてもらい、心が洗われるようです。

 今回の朝ドラは主題歌も気に入っています。メロディがとてもきれいで、聞いていて切なくなるのです。歌詞はいつもどおり聞き取れなくて、メロディだけ楽しんでいます。

 朝ドラから離れて、ドラマ「むしょボケ」の話をちょっとばかり。主人公(北村有起哉)の息子、カイト役で登場した若い俳優さんの達者な演技に舌を巻きました。調べてみると、山崎竜太郎という名前で、神戸市生まれの19歳。6歳からテレビドラマに出演しているので、すでに芸歴13年! これからさらに活躍してほしいです。