冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

連続ドラマ「アストリッドとラファエル〜文書係の事件簿」

 「アストリッドとラファエル」の放送が終わりました。前の記事で、「1回目以外は平凡だった」と書いてしまいましたが、最終回がとても良くて、新たに気づいたこともあったので記しておきます。

 まずNHKのサイト

www.nhk.jp

から、このドラマのおおよそを紹介します。

 

パズルは必ず解けるものです

論理的で繊細な頭脳派の文書係アストリッドと直感的で大胆な行動派の警視ラファエルの正反対の女性バディが、絶妙のコンビネーションで難事件を解決するフランス発の犯罪ミステリー。日本語吹き替え版初放送! 主演アストリッドの声を務めるのは貫地谷しほりさん[全10回]

パリの犯罪資料局に勤める文書係アストリッドは、ずばぬけた知識と論理的な思考を持っている。子どものころに自閉症と診断されたアストリッドが、特に強い興味を持ったのが「パズル」だった。警察官だった亡き父を通して触れた捜査の調書はアストリッドにとってまさにパズル。示された手がかりを分析、解明していくと、事件の真相が現れるのだ。いまや犯罪科学の専門家の域に達しているが、人づきあいを避けて静かに暮らしていた。

一方、警視ラファエルは、普段は少々がさつなところもあるが、経験と鋭い直感、抜群の行動力で犯人を追い詰める敏腕刑事。ある医師の不可解な死亡事件を捜査中に、アストリッドから誰も気づかなかった過去の類似事件の資料を提供される。そのたぐいまれな才能に気づいたラファエルは、アストリッドに捜査への協力を依頼。お互いの違いを受け入れ補い合い、友情と信頼の絆を深めながら、力をあわせて難事件を解決していく。

・・・・・・・・ここまで

 

 見かけも中身も対照的な二人の女性が友情を育みながら事件を解決していく物語。と、理解していましたが、それはこのドラマの縦糸でした。

 横糸は、アストリッドの成長の物語でした。自閉症のアストリッドは理解者だった父が亡くなったとき、判断能力がない、一人では生活していけないと診断した専門家たちによって施設に入れられそうになります。父の友人でアストリッドのもう一人の理解者だった人物が後見人になり、彼女は犯罪資料局の文書係として働き始めます。

 人と交わらず、ひっそり黙々と働いていたアストリッドが、ふとしたことからラファエル警視と知り合い、天才的な能力を発揮するようになっていきます。その過程で、彼女なりのやり方で人とのコミュニケーションをとったり、ラファエルから離れて行動したりもするようになっていくのです。

 最終回、後見人だった人物が事件に巻き込まれて殺されてしまいます。彼は亡くなる前に、アストリッドにはもう後見人は必要ない、自分は後見人を降りるという手続きを進めようとしていました。担当の役所(家庭裁判所のようなところかな?)での審査を楽々とクリアして、アストリッドは自立した社会人として生活していくことが認められます。1回目から回を重ねるごとにアストリッドは成長していたのでした。

 自閉症について、これまでよく知らなかったのですが、このドラマを見て少し理解できるようになりました。ラファエルが戸惑いながらもアストリッドを理解していくのと、ドラマを見ている私が理解していくのが同時に進むので、ラファエルの気持ちに共感しやすかったです。

 事件解決の中心になって活躍するのが二人の女性、という設定そのものが楽しい。ラファエルがどんどんアストリッドに惹かれていくので、ラファエルの同僚で彼女が好きな男性はアストリッドにやきもちを焼いたりするのですが、それもわかる気がしました。

 暴走しがちなラファエルにブレーキをかける立場の上司と、ラファエルのチームの一人はアフリカ系のフランス人。アストリッドは北欧系の顔をしているし、ラファエルはラテン系そのもの。見た目の異なるさまざまな人々が登場するところ、日本のドラマとは違うなあと感じました。日本のドラマでは出てくる人はほとんどみんな日本人(たまに韓国籍の人もいますが、見かけではわからない)。「みんな同じ」が当たり前になってしまっているから「同調圧力」が強くなるのかもしれません。

 このドラマ、フランスで高視聴率を稼いだ人気の作品で、第3シリーズまで放送され、次のシリーズも予定されているとか。日本でも来年5月に第2シリーズが放送される予定です。