冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

2022年 秋シーズンのドラマ

 秋から始まった連続ドラマが一通り終わりました。前期に続いてこのシーズンも豊作だったと思います。

 まず、何と言っても「エルピス」です。渡辺あやの脚本。この人が脚本を担当したドラマに今のところハズレはなく、「エルピス」も何年も見たことがないような骨太の作品でした。

 俳優さんたちも良かった。主人公の恵那を演じた長澤まさみ。俳優としてのキャリアに5つ星の足跡を残したのではないでしょうか。振り幅の大きい役柄をしなやかに魅力的に演じていました。最終回、言葉巧みに説き伏せようとする斎藤(鈴木亮平)に交換条件を突きつけた場面はめちゃくちゃカッコ良かったです。

 拓朗役の眞栄田郷敦。無邪気で能天気で明るいキャラから陰気で世の中に絶望しているキャラへ変化するなど、こちらも振り幅の大きい役柄。荒んだ生活をしている時は頬がこけて、目ばかり鋭くなって、別人のように見えました。顔の形が変わっていたので、体重を落としていたんじゃないかと思います。演技に対する熱が半端じゃないと感じられました。千葉真一の息子さんです。お兄さん(新田真剣佑)より弟の方が演技力があるのかな。

 岡部たかしNHKの夜ドラ「あなたのブツがここに」で宅配便会社の頼りない社長?副社長?役で出ていた人。その時から印象に残っていて、「エルピス」で「やっぱりこの俳優さん、すごいな」と思いました。調べてみると、東京乾電池出身なのだそう。うまいな、と思う俳優さんって、舞台をやっていた人が多いです。

 鈴木亮平も良かったけど、あの顔って、私にはちっともイケメンと思えない。恵那がどうしてそこまで好きになるのか、あんまり共感できず、そこだけ残念でした。

 このドラマ、佐野亜裕美プロデューサーがTBSにいた6年前に渡辺あやと企画したけどボツになり、佐野亜裕美がカンテレに移って、奇跡のように実現したのだそうです。

 「サイレント」。登場人物がみんな優しいラブストーリー。主演の川口春奈は「ちむどんどん」でヒロインのお姉さんの役だったんですよね。あの時はちっとも魅力を感じなかったのに、この作品ではなんて可愛らしいこと。目が大きくて、少女漫画(昔の)のヒロインみたいです。目黒蓮は素朴な感じで、顔が長すぎてそれほどイケメンとも思えず。でも、笑うと笑顔がものすごくチャーミング! あれでイチコロになる人も多いかもしれません。

 「ファーストペンギン」も良かったです。実話に基づいているのだそうで、毎回起きる危機がリアルでした。主演の奈緒はすごい美人というわけではないので、初めは「この人が主役でもつのかな」と危ぶんだりしましたが、役柄にハマっていました。漁師役の堤真一は、初め、都会的な匂いが拭いきれていなくて、荒くれ者の感じが出ていませんでしたが、だんだん良くなって行きました。

 「ザ・トラベルナース」。気楽に見られて楽しめる作品でした。最終回、中井貴一が重い病気で手術もできず余命わずかということになった時、あのドクターXの大門未知子が「私、失敗しないので」と言って出てくるのかなと思ったけど(脚本がどちらも中園ミホなので)、さすがにそれはなかったです。

「黒サギ」。前に山P主演でやっていたドラマです。今回の主演はキンプリの平野紫耀。「紫曜」って素敵なキラキラネームですね。テストの答案用紙に名前を書くとき、時間がかかっただろうなあ(笑)。最初、声が良くないな、山Pの方が良かったな、と思ったけど、だんだん慣れました。耳ざわりの良くない声も個性的でいいのかも。

 黒島結菜が演じた役柄は立ち位置やキャラクターがつまらなかったです。山P版の時も印象に残らなかったのか、誰がやったのかをちっとも覚えていませんでした。調べてみたら堀北真希でした。懐かしいですね。

 三浦友和平野紫耀が並んだときに思ったのは、昔のイケメンと今のイケメンではずいぶん顔が変わったこと。今のイケメンって顎が細くて鼻が高いですね。身長もずっと高くて180cmはザラ。「なにわ男子」のようなカワイイ系のイケメンは小柄なのかな。キンプリが歌っている主題歌もいい感じでした。

「城塚翡翠」。「霊媒探偵・城塚翡翠」と「invert城塚翡翠倒叙集」の2シリーズでした。夫がお気に入りだったのでずっと見ていましたが、主役の清原伽耶の演技は物足りなかった。悪女っぽいキャラクターのとき、セリフが一本調子になるのです。この人自身の中に「悪」の要素があんまりないのかな、と想像しました。若いから、まだこれからですね。