冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

能「江口」続き

 主な出演者は次の通りです。

 シテ 友枝昭世
 ワキ 福王茂十郎
 ワキツレ 広谷和夫、福王和幸
 
 大鼓 山本哲也
 小鼓 横山晴明
 笛     杉    市和

 友枝昭世さんの謡は聴いていると胸にじかに飛び込んでくる感じがして、涙ぐみそうになりました。静止している時の佇まいから、この方の心身が舞台空間を支配していることが感じられました。
 後シテの装束は緋色の袴をつけます。遊女というより巫女のように見え、普賢菩薩に変化(へんげ)するという結末をすんなり受け取ることができました。

 川遊びのシーンから後、謡の文言がとても美しいのです。季節の自然が色彩豊かに語られ、すべては移ろうと言います。こうした仏教的無常観、輪廻転生の思想は、四季がはっきりしている
日本だからこそ発達したのかも、と気づきました。

 前回に引き続き超イケメンの福王和幸さんを見ることができたのもラッキーでした。席が脇正面だったので、定座に座っている間、ずっと真向かいにお顔や姿を拝見することができました。

 囃子方では、笛の杉市和さんが素晴らしい。この方が吹く笛はなぜか心に響きます。いつも聞き惚れてしまいます。

 この日は満席で、立ち見客もいました。
 みなさん、素晴らしい舞台で今年の観能納めをされたことでしょう。もちろん私もです。