冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

『やっぱり、このゴミは収集できません〜ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと〜』

 今日読み終えた本を紹介します。著者はマシンガンズ滝沢秀一さん。同じ著者の『このゴミは収集できません』という本を前に読んだことがあって、とても面白かったのです。先週、図書館でたまたまこの続編を見つけて借りてきました。

 著者は売れないお笑い芸人で、生活費を稼ぐためにゴミ収集員の仕事を始めました。そこで遭遇したとんでもないゴミの数々。どうしてそんなゴミが出てくるのか。どんなライフスタイルがびっくりするようなゴミを生み出すのか。それが解き明かされていくところが興味深いです。人ごとじゃない、自分も似たようなことをやっていると気づかされます。

 お笑い芸人だから、というわけでもないでしょうが(だいいち、お笑い芸人の誰でもがこんなに読ませる文章を書けるとも思えないし)、笑いのセンスが光っていて、読みながら何度も爆笑して、笑いながら考え込んでしまいます。

・高級住宅街にも上中下ランクがあり、出るゴミと質が違う。

 (補足すると、上ランクの家が出すゴミはごく少ないのだそうです。愛着の持てないものは買わないらしい。)

・米兵は位によってゴミの出し方が違う。

(沖縄の話です。)

 ・ゴミを分別しない会社は6年以内で潰れている。

 その理由について著者なりの推理を書いた部分では、この人はゴミを通して一種の哲学を手に入れているなあと感心してしまいます。

 恥ずかしながら今まで知らなかったのですが、日本では食品ロスの約半分は家庭から出ているのだそうです。新米の季節になると古米を捨てる家があちこちにあるという話にはびっくりしてしまいました。日本で1年間に、まだ食べられるのに捨てられている食べ物は612万トン、世界中の人たちが世界中の食べ物に困っている人たちを助けようとかき集める食べ物の量が390万トン、という数字にもぶったまげました。

 ゴミの最終処分場は長くもってもあと20年しか使えないのだそうです。その後はどうするんでしょう。ギニア出身の清掃員の「ナンデ、ニホンジンハ、ステルモノヲ、カウノ?」という素朴な疑問に打ちのめされそうになりました。

 2020年9月発行で、発行元は白夜書房です。図書館にも入っていることが多いと思いますので、ぜひ探してみてください。