冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

思いがけず雪の山を歩いた(六甲山)

 山は1月以降、ゆるいコースを2回歩き、昨日は所属している山の会の例会に行きました。「体験ハイキング」と言って、入会を希望している人に参加してもらう催しです。会員からの参加も受け付けます。体験参加者にはベテランのリーダーさんが2人付き、会員参加者グループには通常の例会と同じようにCL(チーフリーダー)、SL(サブリーダー)が付きます。私はCLを務めました。

 一昨夜、会員からの申し込みを受け付けましたが、誰からも連絡なし。寂しいようなほっとしたような。同じ日に同じレベルの例会がほかに6つもあったからだと思います。体験の参加者は火曜日に受付がすんでいて、50代の女性が2人。寒い季節なのでいつもより少ないです。合計6人のチームになりました。

 阪急電車の岡本駅で集合。5分ほど山側へ登ったところにある公園でミーティングをして出発しました。コースは登山口→山の神→はぶ谷→七兵衛山→甲南パノラマ道→横ノ池雌池→横ノ池雄池(昼食)→風吹岩→高座谷→鷹尾山→城山→芦屋川駅。のはずだったのですが…。

 山の神からはぶ谷に向かう木橋にうっすらと雪が残っていて、滑らないように慎重に歩きました。その後、登っていくにつれて雪が増えていくのです。近場の山を歩いていて雪道に出会うのは初めてで、びっくりしてしまいました。

 先日の「10年に一度の寒波」襲来のときは雪が降り続いて、住宅地でも屋根や車、樹木は真っ白に。それでも道路の雪はまもなく溶けました。その後も毎日寒くてよく雪がちらついてはいるものの、平地で普通に暮らしている分には、道に雪が積もることはありません。少し高度を上げただけで山道が雪に覆われているなんて、予想もしていませんでした。

 今日は朝からお天気が良く、気温も7℃くらいまで上がりそうだったので、雪があったとしても溶けているだろうと気楽に考えていました。体験参加者に付いているリーダーさんたちは会のほかのメンバーから少しは情報を聞いていたようですが、それでもここまでとは思っていなかったみたいです。白く覆われた山はとてもきれい。でも、歩くのはなかなか大変でした。

 会員はこの時期、アイゼン必携なので、ザックにアイゼンを入れていますが、体験参加者は持っていません。会員だけがアイゼンを付けるわけにはいかないので、アイゼンなしで雪道を用心しながらそろそろと登りました。七兵衛山は気持ちの良い眺望スポットなのですが、登り下りともに急なところがあります。行けるかな? 大丈夫かな? と相談しながら七兵衛山への分岐まで近づくと、私たちを追い越して先に七兵衛山に向かったグループが下りてきました。登りはなんとか行けそうだけれど下りが危ないので断念したとのこと。この人たちもアイゼンを持っていなかったのです。話を聞いて、私たちも七兵衛山はパスすることにしました。

 甲南パノラマ道に出ると、雪が積もっているところと、溶けてひどいぬかるみになっているところがあり、アイスバーン状態の部分もあります。平坦ならゆっくり歩けば平気ですが、勾配が付いていると靴が滑りやすくて怖かった。いくつか少人数のグループとすれ違いましたが、皆アイゼンを履いていました。

 とにかく横ノ池まで行ってみようということになり、いつも通る道の中でも危なそうなところは迂回したりして(でも、その迂回路も滑りやすくて怖かった)、横ノ池の雌池へ下りるあたりまでは何とかたどり着いたのですが、ここからはもうアイゼンなしでは無理でした。池も凍っています。

 手前は道で、向こうが池(横ノ池の雌池。標高432m)です。横ノ池が凍っているのなんて、初めて見ました。

 予定を変更して甲南パノラマ道へ戻り、打越峠から八幡谷を下って、元の岡本駅にゴールすることにしました。打越峠に出る途中で日当たりの良い、ちょっとした空き地を見つけて、そこで昼ごはんに。午後は雪と泥と格闘しながら打越峠まで歩きました。八幡谷は最初の方だけ少し雪が残っていて、凍りついている部分もありましたが、途中からは雪がなくなり、いつも通りに歩けました。

 山の会に入って4年目。冬にも例会に行っていますが、このコースで雪の上を歩いたのは初めてです。転んで怪我をするのは嫌なので緊張の連続でした。体験者に付いていたリーダーさんが2人ともベテランで、迂回路や雪道を歩くコツなどよくご存知だったので助かりました。とりわけ2人のうちのひとり(男性)は体力・技術レベルともに山の会で最高ランクにいる人で、体格もがっちりしていて、傾斜のきつい下り道では何度も手につかまらせてもらって助けてもらいました。

 チーム全体は和気あいあいとして、危険な箇所以外ではおしゃべりもはずみ、楽しい雰囲気で歩けました。誰も怪我せず無事に下山できたのが何より良かった。思いがけず貴重な体験をした体験ハイキングでした。