冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

上高地〜(紅葉の)涸沢カールに行きました その1

 9月末から10月初めにかけて2泊で上高地〜涸沢カールに行きました。モンベルのツアーです。定員は例年23人のところ、今年は16人。スタッフさんが二人、ガイドとして同行してくれます。あっという間に2週間が経ってしまい、記憶が薄れてきているのですが、写真を頼りにして書いて行きます。

 1日目。専用バスで大阪を出発し、上高地バスターミナルへ。着いたのは2時ごろだったでしょうか。ここから先は車は入れません。ガイドさんの案内で今夜の宿、徳澤ロッジを目指します。

 河童橋上高地の象徴のような風景です。向こうに見えるのは穂高の山々。上高地の標高は1500mで、爽やかな空気を呼吸できます。写真はクリックすると拡大します。

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 左岸を歩いて行きます。川の上流に立って下流を見て、左側を左岸というそうです。河童橋から上流は人出が少なくなり、林の間を縫っていく心地よい散歩道です。勾配もほとんどありません。

 途中、厳かな山容が眺められます。

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 約2時間で今夜の宿、徳澤ロッジに到着。

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 山小屋風ですがここはまだ平地なので、トイレは水洗だしお風呂まで備えていて、快適に過ごせます。人気の高い宿なので、普段は1枚の布団に3人で寝るほど混みあうそうですが、コロナの今年はもちろん一人で使えました。しかも二段ベッドの8人部屋を6人で使うという贅沢さ。

 晩御飯です。

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 とても豪華。ハンバーグと川魚はできたての熱々ではなかったですが。。。そこまで期待してはいけないのでしょう。

 今回も眠れないんだろうなあと思いながら、消灯後すぐに入眠剤を飲んだら、すんなりと寝付いてぐっすり眠れました! 驚きです。体が慣れてきたのでしょうか。眠れたおかげで翌日も元気に歩くことができました。

 次の記事へ続きます。

 

常念岳〜大天井岳〜燕岳を縦走しました その3

 翌朝、ご来光を拝んでから、

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 燕山荘を5時半に出発して、燕岳(つばくろだけ)山頂に登ります。

 

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 着いたのは6時10分。風が強くて寒いです。ここにも360度の景観が広がり、槍が岳が見えます。

 

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 雄大な景色を背景に、眠そうな顔をした私。

 

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 燕山荘に戻り、7時に出発。中房温泉へ下って行きます。標高差1256m、距離は4.3km。傾斜のきつい下りです。足が疲れきっているので、怪我をしないように気をつけて歩きました。ユコリンさんとムラちゃんにはずっと遅れがちでした。平日なのに、若いカップルやグループがたくさん登ってきて、たびたびすれ違います。急登を軽々と登っていく姿を見ると、羨ましくてしょうがありません。もっと早く山歩きを始めればよかったなー、なんて思ったりもしました。

 4時間近くかかって、10時50分に中房温泉に到着。素朴な雰囲気の温泉があるので入りました。露天風呂です。外気は冷たく、お湯は熱めで、とても気持ち良かった! 疲れが溶けていく気がしました。そして湯上りに生ビールで乾杯。ゴールした後のビールの美味しさは格別です。

 JR穂高駅までバスに乗り、大糸線松本駅に出て、駅前でお蕎麦を食べ、高速バスで大阪まで帰りました。

 これからの課題が見えてきました。一つは、重いザックを背負ってももっと平気で歩けるように、普段からトレーニングすること。「ボッカトレーニング」といいます。

 もう一つは、夜よく眠れないのをなんとかしたい。もともと枕が変わると眠れないたちで、1泊目のホテル、その後の山小屋2泊とも、入眠剤を飲んで寝たのになかなか寝付かず、やっと寝付いても2時間ほどで目が覚めて、あとは半睡半醒で2時間ほどを過ごして朝を迎えました。眠れなくても、目を閉じて横になっているだけでも疲れは取れる、という説もあるようですが、私の実感では眠れたのと眠れなかったのとでは疲労の回復の度合いがまったく違うのです。なんとかして、もう少し長い時間眠れるようになりたいです。

 とはいえ、そんな寝不足続きの状態でアップダウンの山道を長い距離、歩き続けるなんて、1年くらい前の私には考えられなかったことです。ヘロヘロになりながらも歩ききることができたのは、それだけ体力がついてきたということなのでしょう。

 Eテレの「日本百名山」という番組でアルプスの山々を見ては「いつかあんなところに行ってみたい」とずっと思っていましたが、この山行から帰ってからは、「ああいう景色、見てきたなあ」に変わりました。その景色の中に身を置いたとき、自分の五感が感じ取っていた、何か途方もないものがあって、言葉ではうまく言い表せないのですが、その感覚だけは今もふと蘇ってきます。

 

常念岳〜大天井岳〜燕岳を縦走しました その2

 15日、朝食の後、ご来光を拝みました。写真はクリックすると拡大します。

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 太陽は毎日昇るのに、どうしてこんなに神々しいのでしょう。

 朝焼けの槍が岳。

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 6時に山小屋を出発。足の筋肉痛は残っていますが、歩き始めると平気になりました。この日は大天井岳(おてんしょうだけ)を経て、燕岳(つばくろだけ)のそばにある燕山(えんざん)荘という山小屋を目指します。

 6時46分、あの山が大天井岳? いえいえ、はるか遠く先です。

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 アップダウンを繰り返しながら、歩き続けます。槍が岳がずっと見えています。まるで見守ってもらっているかのよう。

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 場所によっては眼下に一面の雲。まさに雲の上を歩いている気分です。

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 ところどころでこの植物が紅葉していました。

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 眺めが素晴らしくて、休憩のたびにうっとりと見とれます。

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 だけど、行程は思ったより長くて(私の歩くのが遅くて、予定していた時間をずいぶんオーバーしたからでもありますが)、歩いても歩いてもたどり着かない!

 ようやく大天井岳と、その麓の山小屋「大天荘」が見えて来ました。

 

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 11時ごろ、大天井岳に到着。

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 ほっとしたのもつかの間、ここから今夜の宿、燕山荘までがまだまだずいぶん遠かったのです。またもや足はガクガク、体はヘロヘロに。このあたりでスマホの充電が切れてしまい、燕山荘や燕岳の写真が撮れていません。昨夜、モバイルバッテリーで充電したつもりだったのに、ちゃんとできていなかったらしいです。

 燕山荘に着いたのは4時ごろでした。とても大きな山小屋です。私たちはチェックインが遅かったので、玄関からずいぶん遠い部屋に案内されました。途中の階段を上がるのが難行苦行でした。疲労と筋肉痛で足が上がらないのです。

 荷物を置いてから、山小屋の外のテーブルで生ビールを飲みました。その美味しかったこと! 

 夜はかなり冷え込みました。

常念岳〜大天井岳〜燕岳を縦走しました その1

「次にアルプス方面に行くのは9月末〜10月初頭の上高地」と思っていたのに、ユコリンさんが3泊4日の北アルプスへの登山に誘ってくれました。つい先日、1泊でのアルプス行きを経験したばかりなのに、いきなり3泊! 私の弱っちい体力でついて行けるかなあ? とためらいましたが、こういうチャンスはめったに訪れるものではありません。「行こう!」と決めるまでにたいした時間はかかりませんでした。前回の木曽駒ケ岳に同行した4人のうち2人は都合がつかず、3人での登山になりました。ユコリンさんがリーダー。日本百名山を踏破した、経験豊富な信頼できるリーダーです。もう一人のメンバーはムラちゃん。私より1歳年上ですが、私よりずっと健脚です。

 13日(日)、朝8時に高速バスで大阪を出発。2時ごろに終点の松本に着き、JR大糸線に乗り換えます。降りたのは穂高駅。写真はクリックすると拡大します。

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 送迎バスに乗って、今夜の宿、「ホテルアンビエント安曇野」へ。1泊2食付きで12000円くらいのホテルですが、go toキャンペーンに加え、地域のナントカと言う(名前を忘れました)割引も使えて、5000円ほどで済み、びっくりでした。部屋はツインベッドルームに和室が付き、キッチンまで備わっていてゆったりと豪華。食事も美味しく、サービスも良くて大満足でした。温泉だけはそれほど良くもなかったのですが、温泉目当てで来たわけではないので、気になりませんでした。

 翌朝、6時に予約してあったタクシーで一の沢登山口へ。ホテルの朝食は食べる時間がなかったので、お弁当を作ってもらいました。これが、竹皮を編んだ、しっかりしたお弁当箱に入っていて、中身はどでかいおにぎり2個と、おかずがいろいろ。手作り感満載でありがたいのだけれど、すごく重かったです。

 10分余りで一の沢の登山口に着き、簡単にストレッチをしてから登り始めます。名前を知らないのですが、水量が豊かで澄んだ川に沿って、ずんずん歩いて行きます。水音を聞きながら歩くのは爽やかで大好き。あたりの森林も空気も、六甲とは一味も二味も違い、体全体が喜んでいるような気がしました。でも、3泊分の荷物(プラスお弁当)を詰めたザックは(可能な限り減らしたのですが)初体験の重さで、それだけでもずいぶん疲れます。

 

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 こんな丸木橋を渡ったりもして、私にはきついよーと感じられる道を、何度か休憩しながら登って行きます。一の沢登山口から、目指す常念小屋(今夜泊まる山小屋)までは標高差1130m! こんな標高差を登るのはこれも私には初めての経験です。

 ずいぶん登って、足が疲れ果てた終盤に「胸突八丁」が待っていました。

 

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 ここからはとくに傾斜の厳しい道が続くのです。丸太で組んだ階段も随所に。

 

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 この階段、足を置く場所が狭くて不安定な上に、段差が大きくてすごく疲れます。

 最終水場を過ぎて、

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 ぜいぜい喘ぎながら、ようやく常念乗越に着きました。

 

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 標高2450m。やった! これ以上はないと思うほどの晴天で、山小屋の赤い屋根越しに槍が岳がくっきりと見えます。

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 北アルプスの山々が一望できて、素晴らしい眺めです。しんどかったけど、登った甲斐がありました。山小屋にチェックインしてからお弁当を食べ(登りの途中でもおにぎり1個は食べていました)、ほっと一息。

 ところが、この日はこれでゴールではないのです。常念岳の山頂まではまだ登っていないからです。足が疲れ切っているのに、まだ今から登るの? と思ってしまいます。とはいえ、せっかくここまで来たのに山頂をパスするわけにもいきません。大きな石や岩がごろごろする歩きにくい山道でした。うっかり怪我などしないように、足元ばかり見ながら登っていきます。初め、「あそこが山頂だ」と思っていたのは違っていて、山頂はさらに遠くにありました。結局2時間近くかかって山頂にたどり着きました。

 標高2857m。常念小屋から400m登ったわけです。祠が祀られています。お参りしたかったのですが、周囲は大きな岩ばかり。足元が不安定で、近づくこともままなりません。

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 眺望は最高でした!

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 周囲360度の絶景を動画におさめるユコリンさん。

 

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 数人の登山者が岩の上に座って眺めを楽しんだりおしゃべりしたりしていました。下りも1時間以上かかり、常念小屋にたどり着いた時には4時を過ぎていました。

 足は筋肉痛でぱんぱん。夜、寝る前にマッサージしてほぐしました。ユコリンさんが膝のテーピングの仕方を教えてくれ、これが翌日から二日間、とても役に立ちました。

 YAMAPによると、この日の活動データは歩行時間9時間45分、距離は7.2km。登った距離の合計は1541m、降った距離の合計は415mでした。次の記事に続きます。

 

10回目の素人義太夫発表会が終わりました

   毎年8月下旬に開かれる素人義太夫の発表会が終わりました。豊竹呂太夫師匠にご指導いただいている素人弟子四十数名が観客の前でお稽古の成果を発表する催しです。

 私は今年、入門10年目。「絵本太功記」という長い作品の最後の部分「十段目 尼ヶ崎の段」(通称「太十」、たいじゅう)を師匠が10のパートに区切ったのを、毎年一つずつ語ってきました。今年はいよいよ最後の締めくくりの部分「段切り」です。

 毎年、夏は義太夫のお稽古に明け暮れます。今回はこの「段切り」の部分がとりわけ難しく感じられ、難儀しました。発表会の二日前のお稽古でも、まだできない所が2カ所残ってしまいました。それで、本番の前日も、当日の朝も、当日、自分の出番になるまでの1時間ほどの間もずっと、師匠とマンツーマンで受けた最終のお稽古の録音を繰り返し聞き直して、問題の2カ所を頭に入れようとしました。そして、「大丈夫、できる」と思ったのです。

 なのに本番では2カ所ともできませんでした! 頭ではわかっているのにできないのは、わかっていないということなのか。反射神経が鈍いのかなと思ったりもしました。あんなに必死で稽古したのに…と、がっくり落ち込んでしまいました。

 ところが、舞台を降りてから、何人ものお弟子さん、私が顔も名前も知らない方や、知っているけれど一度も言葉を交わしたことのない方まで、「すごい迫力でした」「感動しました」と声をかけてくださったのです。驚き、そしてうれしかったです。「太十の段切り、かっこいいですねえ。私も早く段切りまで行きたいです」とおっしゃる方もいました。

 例年よりひときわ暑い夏が、ようやく終わりました。

 

木曽駒ケ岳に行ってきました

 中央アルプスの最高峰、木曽駒ケ岳に行ってきました。標高2,956m。私史上、最高の高さです。山の会で知り合ったユコリンさんが私のようなアルプス初心者を含めて4人を連れて行ってくれたのです。感謝、感謝です。

 4日(火)、大阪を朝8時半に出る高速バスに乗り、長野県で路線バスに乗り換えて、駒ヶ根市にある駒ヶ岳ロープウェイのしらび平駅へ。ロープウェイに乗ったのは2時ごろだったかな(記憶があいまいです)。しらび平は標高1,661m。ここから終点の千畳敷駅まで、7分半で一気に1,000m近くを登ってくれます。なんて楽チンなんでしょう。

 降りると、広大な千畳敷カールが広がっています。たいした苦労もせずに 憧れの千畳敷カールまでたどり着いてしまい、なんだか狐につままれたような気持ちです。カールというのは山腹が氷河によって削られた地形で、ネットでは「アイスをスプーンでえぐったような形」という表現をよく見かけます。

 千畳敷カールの広大な緑の斜面を眺めながら、小さめの岩がゴロゴロした急な坂を登って行きます。以下、写真はクリックすると拡大します。

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 道はよく整備されているのですが、歩きやすくはありません。途中、あちこちに高山植物が咲いていて、ユコリンさんが名前を教えてくれます。よく知っている名前もあり、初めて聞く名前もたくさんありました。ほとんどはごく小さな花ですが、色や形が美しく可愛くて、気品が感じられます。

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 上と下のどちらかがシナノキンバイ、どちらかがキンポウゲです。

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 名前を忘れた花が多いのですが、下の写真はイワツメグサ。

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 イワギキョウ。

 

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 1時間ほどでこの日の宿、宝剣山荘(山小屋)に着きました。

 翌朝はご来光を拝み、

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 6時半に山小屋を出発。また山小屋に戻るので、不要な荷物は置いていきました。1時間ほどで木曽駒ヶ岳山頂に到着。お社が祀られています。

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 高い山は信仰と結びついているところが多いですね。

 眺望の素晴らしいこと! 槍、穂高、乗鞍、御嶽山南アルプス連峰、その向こうに富士山も見えます。いつまでも眺めていたい絶景でした。写真ではとても表現できません。

 

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 稜線を歩いて濃ヶ池分岐、濃ヶ池、駒飼ノ池を経て宝剣山荘に戻るコースを歩きます。これが予想以上にハードでした。ほとんどの部分がゴツゴツした岩場で、登ったり下ったりの繰り返し。沢も何度か渡りました。しんどくて、あえぎながら歩くのですが(空気が薄いので、よけいにきつく感じられるのでしょう)、下界と違って気温は低めだし、爽やかな風が吹き渡り、なんとも言えず気持ちがいいのです。しかも、好天に恵まれて山々の姿は美しく神々しく、高山植物がいたるところに見られて心が癒され、至福のひとときでした。

 

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 チングルマ

 

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 ハクサンフウロ

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 ウスユキソウ。

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 昼過ぎ、宝剣山荘に戻って一休み。荷物を整えて下山します。来た時と同じ道を下ってロープウェイの乗り場へ。この日は結局、5時間半ほど歩き(プラス花の写真を撮るなどの休憩に1時間半くらい使い)、累積標高差は登りは463m、下りは687mでした(ユコリンさんの記録を教えてもらいました)。帰りは路線バスを途中下車して温泉に入り、汗を流しました。昨日の朝、出発したバスターミナルには夜10時前に着きました。

 行く前は、期待とともに不安もあり、帰ってきたとき、「もう二度と行きたくない」と思うか、すっかりハマってしまって、「またすぐにでも行きたい」と思うのか、予想がつきませんでした。今の気持ちははっきりと後者です。

 

*このコースは人気が高いので、例年、この季節は混み合うそうです。今年はコロナの影響で人が少なくて、ゆったり楽しめました。山小屋はコロナ対策がしっかり取られていて、寝るときはめいめい寝袋を持参。用意されている布団の上に寝袋を置いて寝ました。

 

三浦春馬の「Kinky Boots」

 先日、自死を遂げた三浦春馬。顔がきれいなだけではなく、才能に恵まれた俳優さんでした。何年前だったか忘れましたが、「劇団[E:#x2606]新感線」の舞台で蒼井優とともに、新感線独特の超高速で長時間の殺陣をキレの良い動きで見事に見せてくれました。この二人、只者じゃないな、と思いました。

 Uチューブで見つけたこちらの動画

 ミュージカル「Kinky Boots」のゲネプロダイジェストです。女装した三浦春馬のダンスと歌が素晴らしい。なぜか天海祐希? と錯覚しそうになりました。なんで死んじゃったんでしょう。痛ましいです。

「能楽師のモーニングルーティーン 日常編」

 Uチューブの動画

です。このところお気に入りの金剛流若手能楽師、山田伊純(いすみ)さんの「いすみちゃんねる」。「能楽師のモーニングルーティーン」って、何を写しているんだろうと興味を持って見始めたら、朝、狭いシングルサイズの布団にくるまって寝ている姿から始まって、携帯のアラームで「まだ眠いよー」という風情でようやく起き、歯を磨き…。まだ若いのに奥さんと一緒に寝てないの? とか、ツッコミどころ満載です。

 パジャマでなく浴衣を着ているところが能楽師らしい。と妙に感心したり。起きてから、歯を磨いたり、その後、稽古をするときも浴衣なんですね。

 (家元での内弟子)修行時代から靴を毎日ピカピカに磨き上げるのが大好きだとか。能楽師にとって足は何より大事なのだとか。ということで靴を磨くのですが、手際が良くて、本当に上手に磨いています。

 洋服に着替え、行ってきま〜す、というところで動画は終了。奥さんが撮ったにしてはずいぶん巧みな撮影技術です。伊純さんってなかなかのイケメンなのですが、眉がきりっとし過ぎているのか、見ようによってはコワイ人にも見えるのです。その人物が真面目な顔をして歯を磨いたり、髪をオールバックに整えたりしているシーンがなんとも言えず可笑しくて、つい笑ってしまいます。

 どんな目的でこの動画を作り、公開したのかよくわかりませんが、私自身は能楽師さんに親近感を感じたのと同時に、やっぱり一般人とは違うんだなあと感心してしまいました。

 

OKINA Dance of Life

 こちらの動画

 NHK WORLD-JAPANの番組です。坂本龍一にスポットを当てつつ、能の「翁」を紹介しています。談山神社の野外ステージで演じられている「翁」が美しい。あたりは桜が満開です。「翁」は能のあまたある曲の中で私が一番好きな曲です。

 演者の顔ぶれがすごいです。翁は観世清和、三番叟は野村萬斎。翁後見二人のうち一人は大槻文蔵。小鼓の頭取は大倉源次郎。大鼓は亀井広忠。超一流の能楽師さんたちです。

 英語のナレーションは私にはさっぱりわかりませんが、大倉源次郎さんと野村萬斎さんが「翁」について語る場面が非常に興味深いです。日本文化が本来持っている複合的な部分や多面性について考えさせられます。

岩場歩き講習会

 十日ほど前の話です。所属している山の会で「岩場歩き講習会」が開かれたので参加しました。本来は、夏山例会(日本アルプスの山へ2泊3日で新米を連れて行ってくれる例会)参加希望者向けに行われている催しです。この夏はコロナの関係で夏山例会は中止になったのですが、岩場歩き講習会は予定どおり開かれました。

 阪急電車芦屋川駅を出発して、高座の滝を通り、地獄谷へ。何とも恐ろしげな名前です。ここを歩くのは初めてでした。傾斜のきつい岩場をずんずん登り、雨続きで水量が増した沢(小さめの川)を何度も渡りました。小さな滝のすぐ前を渡る所もあって、靴ばかりか衣類もびっちゃんこ。でも、すぐに乾きました。

 利き足(私は右)をぐんと上げて岩の足がかりに乗せ、両手で岩をつかんで、ぐっと体を持ち上げる、という動作を何度も繰り返します。右足の位置が高いと、体が持ち上がりません。ひえー、どうしよう! という場面では、すぐ後ろを歩いていたリーダーさんが軽くお尻を支えて押し上げてくれました。ありがたい! 体が持ち上がらないのは、腹筋とお尻の筋肉が弱いからだそうです。もっと鍛えなくては。

 途中、ロープとハーネスの扱いを教わったり、切り立った岩場をトラバースする(水平に歩いて行く)練習をしたり。そしてたどり着いたのが岩梯子(いわはしご)です。垂直とまではいかないけれど、かなり急な角度でそびえる岩場を登るのです。ここが本日のハイライト。足がかり、手がかりは意外とわかりやすく、最後に岩と岩の間の狭い空間を潜り抜けるのも何とかクリアできました。やった!

 ここでお昼休憩です。ところが、午後は、この岩梯子を下るというのです。下りは登りより怖いです。「帰らせてもらいます」と言いたくなりましたが、そういうわけにもいかず、チャレンジ。登りではすんなり潜れた穴でしたが、今度はザックが引っかかって難儀しました。足場も見えないので、手探り足探り。やっと降り切ったときにはしんそこほっとしました。ここからまた岩場の続く道を歩き、高座谷を経て芦屋川へ。

 ゴールに到着したときのうれしかったこと! 充実感、達成感を味わいました。私のようなへっぽこでもちゃんとサポートして、最後まで怪我もなく歩かせてくださったリーダーさんやサポーターさんたちに感謝です。

 翌日は久しぶりのひどい筋肉痛。とくに痛かったのは太ももと腕の内側です。6月14日に山の会の例会がようやく再開されて、初めて参加した例会でしたから、余計にきつかったのです。でもこれで、また少し筋肉がついたかなと思うとうれしくて、またすぐにでも山に行きたくなりました。

 

花の宅配便

 花を定期的に配達してくれるサービスがあると友達から聞いて、ネットで調べてみたらいくつか見つかりました。月2回の配送で1800円という業者を選んで申し込みました。

 先日、第1回が届きました。

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 バラが11本、そしてカスミソウ。予想より豪華です。バラの深い赤がとてもきれい。

 玄関に飾りました。

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 もうちょっと上手にできるといいのですが…。

 

 

京都観世会館配信のユーチューブ

 京都観世会館が謡や仕舞を無料配信しています。「高砂」(結婚式で「高砂や〜」と謡われることのある、とてもポピュラーな曲です)を素謡で何人もの能楽師が一部分ずつ語ってリレーしていくというシリーズのほか、<きょうの能楽師>仕舞編というシリーズもあります。「きょうの」はおそらく「京の」とのかけことばなのでしょう。

 後者の1回目では京都観世会会長の片山九郎右衛門さんがご自宅の稽古場で小鍛冶 を舞っておられます。これが実にかっこいいのです。片山家の先代(九郎右衛門さんのお父さん)や、京舞井上流の家元、先代井上八千代さん(九郎右衛門さんのお母さん)のお写真が飾られているのがちらりと映り込んだりするのも興味しんしんです。地謡は録音のようです。

 また6歳の女の子が「猩々(しょうじょう)」を舞うこちらの動画 にも見入ってしまいました。猩々がお酒に酔って足がよろけるところなど、とりわけ可愛いです。地謡はお父さん(画像には入っていませんが)が務めておられるようです。

 仕舞というのは一曲の能のなかでクライマックスの部分を切り取って舞うものです。曲にもよりますが、「小鍛冶」や「猩々」は動きが多くてわかりやすいので、初心者の方にも楽しめるのではないかと思います。ぜひ一度、のぞいてみてください。

再放送ドラマ、おすすめの2本

 新型コロナの影響で、このところ、テレビドラマは再放送が目立ちます。その流れに乗ったのか、あの名作「腐女子、うっかりゲイに告る。」が再放送されることになりました。30日(土)深夜11時半から、NHKです。見逃した方はぜひこの機会にご覧ください。超のつくおすすめドラマです。

 「深夜食堂」も5月19日(火)から再放送が始まりました。私はこのドラマ、途中から見始めたので、この日の放送「赤いウインナーと卵焼き」は初めて見る内容でした。俳優さんたちがみんなうまく、味があって素晴らしい。高齢のゲイ、綾田俊樹。「近寄ったらぶっ殺す!」オーラを発散している黒めがねのヤクザ、松重豊。つまらない男に惚れてはその男の好物をマスターに作ってもらうストリッパーの安藤玉恵。そして全体を引き締めつつ、暖かい空気を醸し出しているのがマスターの小林薫。なんとも言えないかっこよさです。わずか30分の枠にさまざまな人間の人生がみっしり詰まっているという印象。欲を言えば、ヤクザの描き方が甘いのが気になります。

 「深夜食堂」はTBS系で毎週火曜日、深夜1時28分からの放送。私は録画して見ています。

能楽師のぱるおくん、動画で奮闘中

 19日に紹介した動画の話の続きです。

 その後、こんな動画 を見つけました。金春飛翔(ひかる)くん、愛称「ぱるお」が奮闘しているのですが、脱力感満載で、見ていて気持ちよく笑ってしまいます。若い能楽師にはこんなゆる〜い感じの人もいるんだ! と、感動すら覚えました(もちろん、舞台では別人のようにきりっとしているのでしょうが)。

 ぱるおくんの流儀は金春流。この流儀は今残っているお能の流儀の中でも最も歴史が古く、1400年続いており、ご宗家はなんと、81世です。ご宗家は東京に住んでおられ、ぱるおくんのお父さん、金春穂高さんが発祥の地である奈良で流儀を守っておられます。

 ちなみに、先日の記事で紹介した動画に出演している後のお二人は、金剛流の山田伊純(いすみ)さんと喜多流の高林昌司さんです。山田さんの舞は金剛能楽堂で拝見したことがあります。お稽古の基本のマナーを紹介するこちらの動画 もわかりやすくてユーモアたっぷり。楽しめます。

 

能楽師がUチューバーに?

こんな動画 を見つけました。

こちら

が第1回のよう。

 若手の能楽師3人(流儀はそれぞれ異なります)がZOOMを使ってトークイベントを開いています。名前は「ゆとりのかい」で、無料で視聴できます。一つ目は宣伝用に作られたもののようです。二つ目のが初めての作品(?)で、自己紹介をしています。3人とも、こんなことには慣れていないのが丸わかりで、とても不器用な感じがして、かえって好感が持てます。見ていて、笑ってしまいました。

 すでにいくつかアップしているらしい。これからもお能についてわかりやすく解説していくようです。楽しみが一つ、増えました。

 古典芸能関係、とくにお能の動画はチャンネル登録数が少なくて寂しいのです。少しでもご興味がありましたら、ぜひチャンネル登録をしてください。それが、今の苦しい状況でも伝統芸能を継承して行こうと踏ん張っている人たちを励ますことになりますから。