冬すみれ雑記帳

山を歩いたり、お能を見たり。

能・狂言

着物で「翁」(大槻能楽堂)

大槻能楽堂で「翁」を見た日は、着物を着ました。 地色は沈んだピンクです。友禅と絞り、一部に刺繍を用いて組紐を表現しています。組紐には吉祥の意味合いがあるようです。 この着物は実家の母のものでした。母の晩年に私がもらったとき、着た形跡はなく、…

新春能「翁」を見ました

1月4日はこの3年ほど恒例になって来た初観能。大槻能楽堂で「翁」を見ました。演者は以下のとおりです。 翁 大槻文藏 三番叟 野村裕基 千歳 大槻裕一 面箱 中村修一 笛 杉 市和 小鼓 頭取 成田達志 胴脇 成田 奏 手先 曽和鼓堂 大鼓 亀井広忠 後見 赤松禎友 …

能「菊慈童」を見ました

9月9日の西宮能楽堂公演の続きです。 今回の公演は「『重陽の節句』〜菊の葉の露のなぞ〜能『菊慈童』」というタイトル。いつものように、まず梅若基徳さんが解説をされました。 9月9日は「重陽の節句」です。中国では奇数は陽の数字、偶数は陰の数字と…

西宮能楽堂で小鼓体験

西宮能楽堂の9月公演は「菊慈童」でした。公演に先立って小鼓の体験講座と謡の体験講座が開かれたので、予約して参加しました。謡は前にも経験しているのですが、小鼓を実際に打つのは初めて。これがとても楽しかったのです。 講師は上田敦史さんという若い…

能「盛久」を見ました

久しぶりに大阪の大槻能楽堂に足を運び、能「盛久」を見て来ました。 受付で配られた資料から、あらすじを紹介します(一部、省略したり書き換えたりしています)。 壇ノ浦の合戦後、源氏方の土屋三郎に捕縛された平盛久は、都から鎌倉へ護送される。日頃よ…

「敦盛」そのまた続き

ワキの熊谷次郎直実(源氏方)が出家して僧になったのは、わずか16歳の敦盛を殺してしまったという悔いが引き金になっています。その背景には、敦盛と同い年の息子をこの戦いで失った悲しみが潜んでいるのです。 戦争ですから、直実はたくさんの平家方の武士…

和ろうそく能「敦盛」を見ました 続き

能「敦盛」は全部を上演すると1時間半ほどかかる曲です。ここでは時間の制限があるので、半能、つまり後シテの部分だけが上演されました(その中でも、省略された部分があったかもしれません)。 西宮能楽堂では半能の形での上演が多いです。ここで解説付き…

和ろうそく能「敦盛」を見ました

土曜の夜、西宮能楽堂で能「敦盛」を見ました。正確に記しますと、「和ろうそく能」〜陰翳礼讃十六歳の最期〜半能『敦盛』」です。 会場に入ると、舞台を囲むようにして5カ所に、燭台に据えた和ろうそくが準備されていました。火はまだ灯されておらず、蛍光…

能「融(とおる)」を見ました

先週、京都観世会館で京都観世会六月例会を見ました。プログラムは能「小督(こごう)」、狂言「文山賊」、能「杜若 恋之舞」と盛りだくさん。私が見たかったのは締めくくりの能「融」でした。「白式舞働之伝」という小書が付いていましたが、その部分はよく…

西宮能楽堂で半能「田村」

子どもの日に初めて西宮能楽堂に行きました。昨年12月に完成したばかりの施設です。 清々しい白木の造り。 向かって右側の壁に文字がプロジェクターで映し出されています。上演中はここに謡の詞章が表示されました。 「能楽堂にも文楽劇場のような詞章を表示…

能「雲林院」を見ました 続き

チラシに書かれていたあらすじを以下に転載します(表記は読みやすく変えています)。 『伊勢物語』の愛読者・蘆屋公光(きんみつ)は、ある夜見た夢に導かれて、都・紫野の雲林院を訪れます。折しも花の盛り。心惹かれて一枝を手折る公光。すると老翁が現れ…

能「雲林院」を見ました

一日に能「雲林院」を見ました。会場は大津市伝統芸能会館です。 主な出演者は次の通りです。 シテ 尉(じょう)・在原業平 味方 玄(しずか) ワキ 蘆屋公光(あしや きんみつ) 原 大 ワキツレ 従者 原 陸 大鼓 河村 大 小鼓 久田舜一郎 太鼓 井上敬介 笛 …

笛の杉市和さんが芸術選奨文部大臣賞を受賞

朝刊に、今年の芸術選奨の受賞者が発表されていました。その中に、「杉市和(能楽師)」というお名前を見つけ、朝からうれしくてたまりません。 杉市和さんは囃子方で笛を担当されています。この方の吹き鳴らす笛の音は、心の奥底にまで響いてくるのです。魂…

「宗一郎 能あそび」

京都の有斐斎弘道館で「宗一郎 能あそび」というイベントに参加してきました。林宗一郎さんは観世流の能楽師で、39歳の実力派。この方がツレを務めて観世清和さんと舞った「松風」の美しさが脳裏から消えません。 「宗一郎 能あそび」は五年前から始まった…

能「一角仙人」

「一角仙人」のあらすじを当日のチラシから転載します(適宜、表記を変え、改行しています)。 インド波羅那(はらな)国の傍らに、鹿の胎内より生まれ額に一本の角が生えている一角仙人という名の仙人がいました。 ある時仙人は龍神を神通力で岩屋の内へ封…

湊川神社「神能殿勧進能」

昨日の午後、神戸の湊川神社で「神能殿勧進能」を見ました。番組は次の通りです。 舞囃子 「屋島」 仕舞 七曲 前日よく睡眠をとったのに睡魔に襲われて、ここまでは気持ち良く眠ってしまいました。 休憩を挟んで、 独鼓 「花筐(はながたみ)」 仕舞 「邯鄲…

能「二人静」を見ました

1月8日(月・祝)の午後、大津市伝統芸能会館で能「二人静」を見ました。主な出演者は次のとおりです。 シテ 女、静御前の霊 片山九郎右衛門 シテツレ 菜摘女 味方 玄(しずか) ワキ 神職 原 大 大鼓 河村 大 小鼓 吉阪 一郎 笛 森田 保美 以下、チラシから…

能「翁」を見ました

4日、大槻能楽堂で「翁」を見ました。今年初めての観能です。 主な出演者は次のとおりでした。 翁 観世銕之丞(てつのじょう) 三番叟 野村萬斎 千歳 観世淳夫 面箱 野村太一郎 笛 藤田六郎兵衛 小鼓 頭取 大倉源次郎 大鼓 河村 大 「翁」を見るのは昨年のお…

能「江口」続き

主な出演者は次の通りです。 シテ 友枝昭世 ワキ 福王茂十郎 ワキツレ 広谷和夫、福王和幸 大鼓 山本哲也 小鼓 横山晴明 笛 杉 市和 友枝昭世さんの謡は聴いていると胸にじかに飛び込んでくる感じがして、涙ぐみそうになりました。静止している時の佇まいか…

能「江口」を見ました

16日(土)、大槻能楽堂で能「江口」を見ました。 法円坂の交差点から上町通りに入ると、もみじ並木の紅葉が見事です。 12月も半ばだというのに、まだ紅葉が見られるのは不思議な気がしました。 「江口」のあらすじを、当日配られた資料から紹介します。 摂…

2017年の観能記録

能は以前から、鍛え抜かれた生の声が能楽堂に響き渡る感じが好きで、ときどき見に行っていました。本格的に見始めたのは今年になってからです。大槻文藏さん、友枝昭世さんのような上手な方がシテを演じる能を見ると、心身が癒され清められる感じがして、病…

能「清経」、「葵上」などを見ました

23日(祝日)、大槻能楽堂へ。「大槻文蔵 裕一の会」を見ました。大槻秀夫さん(文蔵さんのお父さん)の二十七回忌追善公演だそうで、約4時間みっちり、顔ぶれも豪華でした。 まず、能「清経」。シテは大槻文蔵(人間国宝、以下、「さん」を省略します)。 …

能「松山天狗」を見ました

土曜日に大阪の大槻能楽堂で「松山天狗」という曲を見ました。 この題からは想像しにくいですが、流罪になりその地で没した崇徳院の御陵を西行法師が訪ね、歌を捧げて弔う、というお話です。 お約束どおり老人が現れて御陵へと案内した後、墓の中に消え、夜…

能「松風」を見ました

京都観世会館で能「松風」を見ました。 数多い能の曲の中でもとりわけ人気の高い作品。以前から見たいと思っていたところ、ようやく念願がかないました。 チラシに掲載されたあらすじの一部を紹介します。 西国行脚の僧が須磨の浦に着くと、磯辺に立つ由あり…